シンカメールマガジン
『 真価と進化 』

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2021.2.24号 VOL.77
引越で見えてきた"自由" 

こんにちは。株式会社シンカの横田と申します。

新型コロナウイルスのワクチン接種が遂に国内でも始まりました。
医療従事者からの先行接種であり、市井の人々が受けられるのはまだ先ですが、
感染収束へ光明が見え始めてきました。

ただ、私はコロナウイルスの影響を受けた新しい生活様式、
特に三密を避ける習慣は根強く残るのではないかと考えています。
インフルエンザの病例数減が示すように、様々な感染症の流行予防に
有効な手段と認識されているためです。

とはいえコロナを通してリアルな交流の大切さも実感されたため、
今後は場合に応じた"密"を選ぶ、避けるという判断が求められてくると思います。
判断するには生物・心理・社会などさまざまな視点を考慮し、
それぞれに対し自らの価値観から見た優先順位をつける必要があります。
一つ一つの自分の判断に自覚的になることは、決して簡単なことではありません。

今回は私事を通して、自分の価値観と向き合った体験をご紹介いたします。

それでは、『真価と進化 2021.2.24号』最後までお付き合いください。



引越で見えてきた"自由"


2月中旬から、私は人生初の一人暮らしを始めました。
社会人1年目は実家で暮らして貯金し、2年目から一人暮らしをするというのは
就職時に両親とした決め事であり、2か月ほど早いですが約束を守ったことになります。

年始から1か月半引越関連で動いてきて、ほとんどのことを自分の意志で決めてきました。
家賃・広さ・間取り・設備・周辺環境などの条件に基づいた物件比較だけでなく、
引越の日取り・荷物運搬の方法・家具家電の購入や役所手続きのタイミングといったタスクなど
なんでも自分の思い通りにできる喜びがありました。
もちろん予算や仕事との兼ね合いなど様々な制約があり、妥協もございました。
ただどの条件を妥協するか決めることも自由で、これも喜びの一つでした。

自分の意志で決めてきたとはいっても、一人だけで決めたわけではありません。
一人暮らし未経験の私の判断基準には私自身信頼がおけなかったこともあり、
経験者の親や友人、専門家の不動産仲介会社さんへ積極的に相談しました。
他人の意見は当然ながら人それぞれ異なりました。
特に物件条件について、「もっと安いほうが」「日当たりがいいほうが」など
意見をいただくことが多かったです。
異論を受けると私は自分の判断が不安になるので、また別の人の意見や情報を求めて
色々と行動しました。
そうした結果、選択に疲れて引越自体に面倒になり、
「すぐ引っ越さなくても……」「実家に居るほうが気楽だし……」と
途中で全て辞めようと考えたこともありました。

そんなとき、私は秋の全社会で聞いたことを思い出しました。
弊社の代表田中が、2014年のMBOの経験を一人暮らしをなぞらえて語っていたことです。
家事や金銭負担を任せられる、困ったときに親に甘えられる実家暮らしには
通勤の不便さや親からの干渉が避けられない。
その一方、すべて自分の責任となり精神的に自立しなければならない一人暮らしは、
生活圏を選び干渉されない自由を手にすることができる。
かつてITアウトソーシング事業会社の子会社、いわば"実家暮らし”だった弊社が、
田中が代表の時にMBOしたその一番の理由がこの"自由"だったのです。

私は改めて「自分は自由を求めていたのだな」と自覚しました。
自由とは何をしてもよいわけではありません。決めた事には責任を取らなければなりません。
引越するのもやめるのも自由な選択ですが、どんな結果になろうと
受け入れる必要があります。
約束事を守らない自分でいいのか、ずるずる実家にいる自分でいいのか。
"自由"になれないままでいいのか。
改めて自分の考えに気づかされ、引越に踏み切りました。

最後に、私が好きな言葉を紹介いたします。
哲学者・カントが自由意志について語った有名な言葉です。

『汝の意志の格率が、常に同時に普遍的立法の原理として妥当しうるように行為せよ』

社会の価値観や他人に依拠した行動でも、自身の衝動に従うことでもなく、
自分の理性で判断した行動こそ道徳的であり自由を実現する、と主張した言葉です。
今回の引越の判断では私の自由は実現されましたが、家族の状況によっては
また大きな判断を迫られるときがやってきます。
その時に道徳的な行動ができるよう、常日頃自分の判断が理性的で妥当か
考えて行動したいと思いました。

一人暮らしを始めるという大きな環境変化を経験する中で、
自由とは何か、そして自分が自由を求め、自由に喜びを感じるということに
改めて気づかされました。


編集後記


一人暮らしを始めるという大きな環境変化を経験する中で、
自由とは何か、そして自分が自由を求め、自由に喜びを感じるということに
改めて気づかされました。
そんな価値観に気づき、盛大に自由を謳歌していた中、
先日突如 胃腸炎に罹患しました。
それを機に、保護してくれていた親のありがたみも実感しました。
高熱でうなされ心細くなったり、水汲み一つだけでも億劫になるなど
一人を実感するたび、看病してくれていた親へ改めて感謝の念を抱きました。
実家へは帰れるときに帰っておこうと思いました。

それでは、次回もお楽しみに!

横田 悟