シンカメールマガジン
『 真価と進化 』

SHINKA Mail Magazine

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2021.3.24号 VOL.81
逆転の発想 

こんにちは。株式会社シンカの稲村と申します。

今年の春は、街で袴姿の学生を見かけることがありますね。
昨年は、卒業式を中止された学校もあったようですが、
コロナウィルスへの対策がわかってきた今年は、
様々な工夫のもと、門出を祝うことが出来ているようで良かったです。

一昨年だったか、自分のお手製の卒業ソングプレイリストと
サブスク音楽配信サービス出来合いのそれとが、あまり変わらなかったことをきっかけに
CDの断捨離に踏み切ることが出来たと、このメルマガに書いたことを記憶しているのですが、
今年のプレイリストには知らない曲が増えており、年齢を感じて軽くショックを受けました。
それでも、馴染みの曲も多く、「卒業ソングに名曲多し」ということは変わっていないようです。

それでは、『真価と進化 2021.3.24号』最後までお付き合いください。



逆転の発想


私が所属する経営企画部のミッションは、大きく言うと「仕組みの改善」です。
私の場合、日々の業務の中で生まれる不便さの改善は、現状の延長線上の方法に
納まってしまう事が多く、斬新なアイデアを出せるようになりたいと思っております。
様々な視点からモノゴトを見ることが出来る方でも、「逆転の発想」が形になって
巧く働いたら、どんなに気持ち良いだろうかと憧れる方は多いのではないでしょうか。
そこで、最近私が触れた「逆転の発想」をいくつかご紹介します。


・逆さ傘
傘を閉じて乗り物に乗ったりお店に入ったりする際に、自分や周りが濡れてしまうことに
ストレスを感じていませんか? また、傘立てが無いカフェなどでは
取っ手をテーブルに掛けても すぐに滑り落ちてしまうことも困りものです。

私は、携帯できる傘袋やバッグハンガーの利用といった何かをプラスすることで
このストレスを解消しようとしておりましたが、傘自体が解消してくれるアイテムがありました。
濡れている面が内側になって閉じる傘です。

自分や周りを濡らさないのはもちろんのこと、閉じると下に向く〝つゆ先″が
地面を捉えて自立するので置き場所に困らず、畳む時に手も濡れません。
キレイな柄の面が自分から見える内側になるので、
傘をさしている時に気分が上がるというおまけ付きです。
当たり前だと思われていた傘の開閉の向きを疑ってみて初めて生まれたアイデアだと思います。
文章だけでは伝わりづらいので、気になる方は、検索して画像を見てみて下さい。


・お菓子などの箱
一度に全部は食べないお菓子や、ティーバック等の箱には、箱の口を止めるための
切り込みと差し込み部分がありますよね。昔は あれがちゃんと閉じませんでした。
どんなに丁寧に上から差し込んでも、しばらくするとパカッと開いてしまいます。

そんなものだと受け入れておりましたが、ここ10年くらいでしょうか、
上に開こうとする力を逆に利用して引っかかるように設計された閉じ口が出てきました。
それに出会った時、私は感動すら覚えました。なるほどという感心と共に、
商品自体だけでなく、パッケージの細部にも工夫を凝らして
利用者のことを考えている人の影が見えたからです。


・プラスチックスプーン有料化に対する考え方
松本人志さんなど、何人かの方がコメントしていたのですが、
有料化するよりも、逆に断った人に値引きする方が効果が高いのではないかと。

罰則を科すよりも、メリットがあった方が人は動きやすいと言われます。
チリ紙交換や、Aliveでも取り入れているリターナブル瓶は、
世の中でエコやサステナブルが叫ばれるようになった頃よりも前からあります。
「もったいない」精神が強かったという事もあるでしょうが、
要らない紙がトイレットペーパーに交換されることや、返金されることにメリットを感じて
すぐにゴミとして捨てずに、せっせとキレイにして、
わざわざ一定期間家に保管してから紙や瓶をリサイクルに出していました。


・山梨県のグリーン・ゾーン認証
上記と同意の例ですが、山梨県では、コロナ対策をきちんと講じている店舗・施設に対して
独自のGoTo YAMANASHIの加盟店になれるというメリットを与えることで、
感染防止と経済を回すことの両立に取り組んでいます。
自己申告でなく認証制度なので、利用者の安心感は格段に違います。
山梨県知事は、新型コロナウイルス感染対策を講じた上での歓送迎会や花見の実施を
「ぜひ大いに」と県民に呼び掛けたほど、取り組みに自信を持っています。

命令を出して、従わなければ罰則を科すという方向に行きがちですが、
GoTo YAMANASHIの加盟店数や、山梨の感染者数をみるに、
やはりメリットを与えた方が効果があると思えてきます。


・TBCテレビ 60周年記念ドラマ「小さな神たちの祭り」
東日本大震災の津波で突然大切な家族を失った青年を主人公にしたドラマです。
TBC東北放送は、大学時代に所属していた放送研究部の活動の一環で、
よくお邪魔していたので注目していたのですが、
2019年の放送は地域限定…。先日の全国放送でやっと観ることが出来ました。

ネタバレになりますが、内容を簡単にご紹介します。
家族の中で一人だけ生き残った主人公。8年の時が経ち、「自分だけが幸せに
なっていいのか?」と生きる事に迷い、葛藤を抱えながら毎日を過ごしていた彼が、
ある日の夕暮れ時、黄泉のパラレルワールドに引き込まれます。
そこでは、家族やご近所さんたちが元気に笑いながら暮らしています。
ちゃんと時も経っていて、弟は立派に家業を継ぎ、新しい事業まで始めています。
そこで主人公は「生きているお前が、前を向いて歩かなきゃ。命を繋いでくれ。」と
亡き家族から背中を押されます。

〝こちらがわ″から弔うことや慰めることを中心に考えがちですが、
〝むこうがわ″から勇気を貰うということもあるのだなとハッとさせられました。
これも「逆転の発想」と言えると思います。


私も「逆転の発想」で仕組み改善が出来るよう、
頭を柔らかくして日常の〝業″を企てたいと思います。


編集後記


冒頭で触れた卒業ソングですが、最近とても心を揺さぶられる曲に出会いました。
T字路sの「泪橋」

NHKの「あさイチ」を近江アナウンサーが卒業される回でスタジオで演奏された曲です。
T字路sは、2010年5月に結成されたギターヴォーカル、ベースのデュオなのですが、
ノーマークだった約10年が悔やまれる程のインパクトでした。
一度聴いたら忘れられない強烈なヴォーカル!ハスキーなシャウト系です。
もうテレビから目も耳も離せません。
「あさイチ」の録画を見終わった後に、音楽の趣味が似ている兄に連絡したところ、
私とまったく同じ行動をとっていました。

いくつになっても新しい発見に感動できるのは嬉しいことですね。
それでは、次回もお楽しみに!

稲村 祥子