シンカメールマガジン
『 真価と進化 』

SHINKA Mail Magazine

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2022.3.9号 VOL.128
レトロブームとサステナブル

こんにちは。株式会社シンカの稲村と申します。

三寒四温のこの頃、まだ寒い日もありますが、日中はコートが邪魔だと
感じる日も増えてきました。そろそろ衣替えが必要ですね。

2年着なかった服は今後も切る可能性は ほぼ無いと、2年を断捨離の目安に
すると良いと聞きますが、衣替えの際に、「これはもう…」と思いつつも
結局また仕舞う服がありませんか?私にはあります。
デザインが今っぽくないけれどモノが良かったから勿体ないと、
それを何度か繰り返していくと、また流行が回ってくることがあります。
若者にとっては、目新しく見えたり…。

そんな事を考えている中、ふと、レトロブームって長く続いているなぁ。
もはやブームじゃないのかもと思い、ちょっと調べてみました。

それでは、『 真価と進化 2022.3.9号』、最後までお付き合いください。



レトロブームとサステナブル


ウィキペディアによると「レトロ」は、下記のように説明されています。
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retrospective(レトロスペクティブ、回顧)の略語。懐古趣味(かいこしゅみ)のこと。
思想的・政治的に過去の価値観を軽視せず伝統を重んじる保守主義とは異なり、
サブカルチャー的な世界における「古き良きものを懐かしみ愛好する」趣味を指す。
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単に古いものというのではなく、「懐かしい気持ちを引き起こすもの」
というのがポイントのようです。
あまりに古すぎて何の郷愁も引き起こさないもの、例えば 十二単や鎧甲冑は
レトロとは呼ばれません。

激しくトレンドが移り変わるなか、食やファッション、音楽などさまざまな分野において
ここ数年「レトロブーム」が続いているように感じます。
毎年11月に日経トレンディが発表している「2021年ヒット商品ランキング」では、
「昭和・平成レトロブーム」が第4位にランクインしました。
チェキ、ルーズソックス、たまごっち、写ルンです、カセットテープなど、
具体的な商品・製品を思い浮かべることが出来る方も多いと思います。
シンカのオフィスの近くにも、昭和ロマネスクをテーマにした居酒屋が出来ました。

レトロブームは過去にもあって、懐古する時代の対象は下記の通りです。
1980年代のブームでは、1920年代から1950年代(大正末期から昭和の高度経済成長期直前)
2000年代初頭からのブームでは、1955年 から 1965年(昭和30年代から40年代『三丁目の夕日』の頃)
時代が進むにつれて、新しかったものもどんどん古くなるため、
「レトロ」の対象も広がっていくことになります。

そして、このところの「昭和・平成レトロブーム」。
過去のレトロブームとの違いは、〝前向きなノスタルジー〟がベースになっていることだと
茨城大学 人文社会科学部 高野光平教授が言われています。
〝ノスタルジー〟というと、「生きづらい今と違って、昔はよかったなぁ」
「あのころに戻りたい」など過去への逃避願望を投影するような、
〝後ろ向き〟のものもありますが、今回は、過去から一定の距離を取って楽しむ、
〝前向き〟のノスタルジーなのだそうです。
この点が、私が、もはやブームと呼べないほど長く続いていきそうな気がした要因のようです。

今回のブームを引っ張っているのは、10~20代のいわゆるZ世代です。
過去に流行したものを知らない世代がブームを引っ張っているのは不思議な気がしますが、
彼らにとってその時代は、新しく感じるとともに、親の世代から聞いた話に親近感が湧き、
〝知らないのにどこか懐かしい〟というなんともいえない感情が湧き上がってくるのだそうです。
なんでもスマホで済むようになった時代に、面倒くさくて重くて、アナログっぽいものへの
憧れや渇望感があるという…、人というものは、無いものねだりなのですね。

レトロブームには、フリマアプリの定着も影響しているのではないかと思います。
多様性の時代、与えられた画一的な流行を追うことが少なくなり、
誰かの古い・もう似合わないは、他の誰かにとっては新しい・似合うになり得ます。
親戚やご近所同士に限られていた「おさがり」の輪は、顔も知らない誰かにまで広がっています。
将来「売る」ことを前提に、ものを丁寧に使う若者の話をテレビで聞きました。

歴史的建造物を継承し、カフェやブティックなどの施設として活用される事例も増えました。

プラごみ減少を目指した量り売りやリターナブル瓶の利用は、昔やっていたことです。
実は昔、実家でお豆腐の販売委託を請負っていて、ご近所さんはうちに
ボウルや鍋を持って、お豆腐を買いに来ていました。
こじつけが過ぎる気もしますが、これもレトロな行為と言えなくもないかと…。

前述の〝古すぎて何の郷愁も引き起こさない〟に当てはまってしまいますが、
弊社の課外活動で、江戸東京博物館を訪問したグループの発表で
江戸の町では循環型の社会が形成されていたことを知った時は感心しました。
※江戸東京博物館は大規模改修工事の為、4/1から長期休館になりますので、興味のある方はお早めに。

古いは一週回って新しい。誰かの古いは誰かの新しい。
サステナブルな考えに基づいて行動していくと、将来「レトロという言葉があったなぁ」
と懐かしむ日が来るかも知れません。

<参考資料>
Oggi.jp『80年代【レトロカルチャー】ブームが到来中! その理由は“エモい”感情?』
https://oggi.jp/6564605


編集後記


以前のメルマガでご紹介した、ランチ時に見るネットニュースに間に合うように
朝ドラを電車の中で観るという私の視聴スタイルですが、進化して継続中です。
テレワークで朝に余裕がある日は、オンタイムで朝ご飯を食べながら観ています。
おやっ? 夜に観ていた私にとっては進化のつもりが、昔ながらのスタイルですね(笑)
朝ご飯のメニューは、今川焼と牛乳。更に余裕がある日は抹茶を点てる。
ご覧になっていない方には分かりませんね。すみません。
ちなみに、朝ドラの劇中でもトランジスタラジオやポップアップトースターなどのレトログッズが活躍中です。

それでは、次回もお楽しみに!

稲村 祥子