シンカメールマガジン
『 真価と進化 』

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2022.5.25号 VOL.138
物価高にどう対処するか? 『 真価と進化 2022.5.25号 』

 こんにちは。株式会社シンカ代表の田中です。

 円安と資源価格上昇に伴う輸入物価の上昇により、連日値上げの
ニュースが取り上げられています。また、ロシアのウクライナ侵攻によって、
さらに資源価格は高騰することが容易に想定できます。

 さらには、コロナや上海のロックダウンの影響で、生産が追いつかず、
そもそも「物が入らない」という事態も方々で聞かれるようになりました。

 今回は、生活者であり生産者である私たちがどう対処すべきか、
考えを整理してみたいと思います。

それでは、『真価と進化 2022.5.25号』、最後までお付き合いください。



物価高にどう対処するか?


 世界の原油市況の指標となっているWTI原油先物市場の長期チャートを
見ますと、2015年~2020年のコロナ前まではおおよそ50ドルで
推移していましたが、現在は約110ドルに急騰しており、約2倍を超えています。

https://nikkei225jp.com/oil/


 次に、天然ガスのLNG(プラッツJKM)先物を価格を見ますと、
コロナ以前の2019年は、およそ百万BTUあたり5ドルで推移していたものが、
直近では百万BTUあたり25ドルと約5倍になっています。

https://oilgas-info.jogmec.go.jp/nglng/1007905/1009340.html


 仮に、様々な製品に占める化石資源にかかるコストの合計が10%だとすると、
それが20%に値上がりするわけですから、概ね10%の物価高はありうる話です。

 また、ロシアのウクライナ侵攻によって、世界の小麦輸出量の
12%を占めるウクライナの輸出量は35%減少するだろうという予測もあり、
インドは自国の需要を優先し、輸出を禁止しました。
ウクライナ侵攻の影響による原料高騰は、今後もう一段あるでしょう。

https://www.jiji.com/jc/article?k=20220510042958a&g=afp

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB152PM0V10C22A5000000/


 さて、物価高に対して、我々はどう対処すべきでしょうか?
生活者の目線で我々が取りうる行動から、企業としての対処の方法を
私なりに想像してみたいと思います。

●生活者が取りうる選択
1)同じ製品のうち、比較して安いものを選ぶ(例:食用油)
2)同じ製品でも、少量のものを選択する(例:ポテトチップス)
3)相対的に安い代替物がある場合は代替物を選ぶ(例:牛肉→豚肉→鳥肉)
4)他の安いものと組み合わせて、全体として価格を抑える(例:もやし)
5)必需は維持し、贅沢を削る(例:○医療費、×飲み代)
6)新品ではなく、中古品を買う(例:ファッション)
7)購入せずにシェアリングサービスを使う(例:自転車)
8)自分で作れるものは作る(例:家庭菜園)

 一方で、コロナ貯蓄が50兆円積みあがっているというニュースもあり、
日本はまだ需要不足が解消されていないと言われていますから、
多少の物価高の吸収力はあると思われます。

 もちろん、富裕層と貧困層の二極化が日本でも進んでいることから、
富裕層は高額消費をする余裕があり、貧困層は生活へのダメージが
相当厳しいのではないかと思われます。

 上記のように並べてみると、1→8に向かって、現代の消費トレンド
そのものではないかと思いました。

 資源高は一時的な現象ではなく、長期トレンドです。2010年時点で、
40年後の2050年には世界の化石資源の消費量は2.5倍になるとの予測もあります。
私は、今の物価高はその序章が始まったものだと捉えていまして、
社会の仕組みを1→8の方向へ、生産するとしてもできるだけ国内資源で
賄えるようにしていくことが地政学リスク回避(究極は戦争回避)のためにも
重要ではないかと思っています。防衛費をGDP比2%に増やすという提言も
公表されました。平和維持にはコストがかかるのが現実です。
軍事費に5兆円使うなら、消費税を1%減税してほしいものです。

 現在の物価高は喜ばしいことでは全くありませんが、今回の物価高を
きっかけに、日本国民がライフスタイルを変化させるきっかけに
なることを私は願っています。

編集後記


 小麦不足の懸念から、私は最近パンではなくお米、パスタではなく蕎麦
を食べるよう習慣づける意識をしています。しかし、どうしても
ラーメンは食べたい…ということで、私も完璧に実践できておりません(苦笑)

 ニホンミツバチの養蜂箱を作ったことをきっかけに、コーヒーに入れる
砂糖(消費量の3分の2が輸入原料)を、将来採れるであろうハチミツに
切り替えてみました。すると、これがウマイ!

 ・・・ん、待てよ?コーヒー豆もほぼ100%輸入品だ~!!
ということで、今度は日本茶を飲むをしなければいけないのでした。

 世界から豊かな恵みを頂戴するのが当たり前になっている現代生活を
サステナブル生活に転換する旅はまだまだ続きます。しかし、急いで。

●たまには、食料自給率についておさらいしてみませんか?

農林水産省HP 食料自給率のお話(連載)
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/attach/pdf/012-2.pdf



それでは、次回もお楽しみに!

田中 裕也