シンカメールマガジン
『 真価と進化 』

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2022.11.24号 VOL.163
手をかけるということ 『 真価と進化 2022.11.24号 』

こんにちは。株式会社シンカの稲村と申します。

先日、ニュースで「恵比寿ガーデンプレイス」内の三越跡地に、
新たなコンセプトの商業施設がオープンしたと知りました。
メインターゲットは「ライフクリエイターズ(日々を自分らしく愉しみながら
恵比寿のまちに暮らす・働く・訪れる人)」とのことで、DIYの道具を
実際に試したり出来る店舗も入っていました。

私は、また時代が変わったなぁと思いました。
恵比寿ガーデンプレイスは、私が東京に出てきた年にオープンし、
TokyoWalkerなどで特集されるセレブ感溢れるキラキラした世界に憧れたものですが、
そこにホームセンターとは、と。

でも、元来私は、デパートよりもホームセンターにわくわくする性分でしたので、
近頃のDIYブームは歓迎で、興味が復活していたので、ありがたいニュースでもありました。
そこで、良いきっかけだったので、何故私はDIYが好きなのかなと、ちょっと振り返ってみました。

それでは、『 真価と進化 2022.11.24号』、最後までお付き合いください。



手をかけるということ


コロナ禍を追い風にDIYがブームになっています。
DIYは「Do it yourself」の略語であり、直訳すると「自分自身でやる」です。
日曜大工として旧来親しまれていますが、昔はお父さんがやるイメージだったのものが、
老若男女広く楽しまれるようになりました。

昔は、私の実家でも器用でマメな父が、色々なものを作ってくれました。
台所の使い勝手が良くなるラックや、隙間にぴったりな棚など。
よく「趣味と実益を兼ねて」と言いますが、昔は「実益」に比重があったように思います。

兄の部屋にあったスピーカーラックは、まさにそれでした。
スピーカーを買えるまでおこずかいは貯まった。でも置く場所が無い。
だったら、宙に浮かせよう。でも大工さんに頼むと高い。
だったら、自分で作ってしまおう。といった具合です。

L字の金具など、ホームセンターで買わなければならない材料もありますが、
近所の大工さんや建具屋さんから端材を貰えるという環境でもありましたので、
プロに頼むよりも、圧倒的に安くピッタリのものを作ることが出来たのです。

私自身も、編み物や裁縫をよくやっていました。
母の影響が大きかったと思いますが、母がやっていた理由としては、
作る過程を楽しむこともありますが、"好みのものが安く手に入る"ということの方が
比重が大きかったと思います。
そういう時代でした。お転婆でおっちょこちょいキャラのサザエさんが
ワンシーズンに1着くらいは、ワンピースなどを手作りする時代です。

空き箱に 戴きものが包まれていたキレイな包装紙を貼って小物入れをつくる
といったことも今思えば立派なDIY。安いどころか支出0円です。

それが、いつ頃からか既製品が安く、バリエーションも増えてきて
手作りする理由が無くなってきました。
コツコツ集めた道具も、引っ越し荷物の選別の度に、廃棄や実家送りに。

一方、近年のDIYブームは、「実益」よりも「趣味」の比重が大きい様です。
世界に一つだけの自分のオリジナルを手間をかけて作り、愛着を持って永く使う。
材料費は多少高くついても、あまり関係ないようです。
工具についても、凝り始めるとプロ仕様のものが欲しくなるようで、
値の張る道具もそれなりに売れているとのこと。

DIYを始めやすい環境が整ってきたことも、ブームを手伝っています。
材料が一通りそろっているキットがあったり、お店で教室を開いていたり、
私の子供の頃の様に、なじみの大工さんや建具屋さんがあるという環境は
少なくなっていると思いますが、その代わりを担っています。

私の場合、元来貧乏性で(笑)、一から作り上げるよりもアレンジが得意な方なので、
修繕や100円ショップの商品などを組み合わせる様な手作りが合っているようです。
目下、備蓄棚の跳ね上げ式の扉が壊れてしまったので、観音扉を作るか、
見せる収納に変更して、スッキリ見えるように内部の棚を工夫するかを検討中です。
元が組み立て式の家具で手をかけたこともあり(これも一種のDIY?)
簡単に買い替えることが出来ません。
突っ張り棒と手持ちのクロスでの目隠しで凌いでいる今の形も悪くはないのですが…。

無理なく、自分が心地よいと感じるスタイルで楽しんでいきたいと思います。

Aliveのある飯能にも、木工品や焼物作りを楽しめるスポットがあります。
興味のある方は、是非チェックしてみてください。


編集後記


自分のDIY史を振り返ってみると、恵まれた環境で育てて貰ったんだなと思いました。
子供の頃は普通だと思っていましたが、あらためて両親や周りの環境に感謝です。

また、生まれた時代も良かったなと今更ながら思います。
ステレオがある兄の部屋には、レコードやFMラジオを聞くために、兄の不在時でも
入って良かったのですが、ステレオの扱いに関しては厳しかったです。
過電流でデリケートな機器にダメージを与えないように、電源を入れる順番にも気を付けていました。
静電気を除去するレコードクリーナーを使ったり、カセットデッキのヘッドクリーニングなども
日常的に行っていましたが、今はわざわざお金をかけてその環境を手に入れる若者もいるとのこと。
指一本や音声認識で、うろ覚えの曲でも簡単に検索して聞くことが出来ることも
便利で良いのですが、一曲聴くにも手をかけると"好き"が増すように感じます。
どちらも時代の流れの中で自然に経験できているのはラッキーですね。

それでは、次回もお楽しみに!

稲村 祥子