シンカメールマガジン
『 真価と進化 』

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2022.12.14号 VOL.166
逃げたら一つ、進めば二つ 『 真価と進化 2022.12.14号 』

こんにちは。株式会社シンカの横田と申します。

サッカーワールドカップの話題がメディアを席巻するなか、
寒さはいよいよ本格化し、またクリスマス商戦のCMを見るにつけ、
年末に向けてせわしない毎日の訪れを感じます。

国民の心がどこか浮足立っているこうしたときに、
防衛費増額など重要な意思決定が人知れずにしれっと進行していたりします。

キャッチーな流行に流されることも一興ですが、
より大切なことを見失わないように、毎日を過ごすことが肝心です。

それでは、『 真価と進化 2022.12.14号』、最後までお付き合いください。



逃げたら一つ、進めば二つ


私が最近ハマっているアニメで出てくる言葉が、キャッチ―で心に残っているので紹介させてください。
『逃げたら一つ、進めば二つ、手に入る』という言葉です。

この言葉はあの有名なガンダムシリーズの最新作、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の
主人公スレッタ・マーキュリーが苦境に直面したときに繰り返す言葉です。

舞台は企業の宇宙進出により、宇宙移民者と地球移住者の対立が激化する時代。
モビルスーツは軍事利用をされてきたが、搭乗者の心身に影響を与えることから
「ガンドフォーマット」は巨大コングロマリットのベネリットグループに製造を禁止されている世界。
父親を早くに亡くし、宇宙の辺境の水星からアスティカシア高等専門学園に編入した
主人公・スレッタはごくつつましい「やりたいことリスト」を埋め
「故郷で学校を設立する」という夢を持つ少女。
幼いころから「エアリアル」というモビルスーツを操るパイロットであったが、
彼女自身は何も知らないまま、学園にいるベネリットグループの息女たちの争いに巻き込まれ、
時に理不尽な扱いを受けながらも懸命に戦う姿を描いています。

LGBTや人種差別、生命倫理などのサブテーマを傍らに描きつつ、
親世代の企業同士の利権争いと子世代の幼い感情の対立が葛藤を生み、
またどういう過程でガンダムは禁止されたのかという謎が徐々に明らかになってくるという、
ガンダムを知らなくても楽しめるストーリーとなっております。

ガンダムシリーズはその膨大なメディア展開から
手を出すのが億劫となっており、知らないながらも1話だけ楽しめるかと
挑戦の気持ちで見始めました。
キャッチーなキャラや設定でありながら、単なるバトルものにとどまらないストーリーに魅了され、
今では毎週楽しみにしております。

中でも『逃げたら一つ、進めば二つ、手に入る』という言葉がとても心に残っています。
学園のパイロットといざこざがあって対決することになったスレッタが、
怖くて戦いたくないという思いを抱えながらも、この言葉をつぶやきます。
『逃げたら「負けない」が手に入ります。進めば手に入ります、
経験値もプライドも、信頼だって』

この言葉の良いところは、決して逃げることを否定していない点と、
逃げない勇気をたたえている点にあります。

時には「負けない」が必要なこともあります。
スポーツの世界でいうと、攻撃のリスクを冒さずに守りを固め時間稼ぎをすること、
ビジネスの世界なら、忙しいときにコンペがある提案・営業活動をせず
既存の取引のある会社とだけ付き合いを続けること、
どちらも挑戦しないことで、きちんと成果につなげています。
それは確かに1つは手に入る、ということです。

しかし進めばよりよいものが手に入る、だから進む、という勇気があるのです。
攻めたら負けるかもしれないけど、その経験値や逃げなかったというプライド・信頼で
次につながる何かが得られるかもしれない。
提案が失敗して既存の仕事もうまく回らなくなるかもしれないけれど、
忙しくても提案ができるというスキルや自信、他人からの信頼につながります。

僕はこの言葉を聞いて、自分の中で抱えていた漠然とした思いをバチっと
言語化してくれたようで、とても感銘を受けました。

忙しくて手が回らないとき、わからないことが多くてくじけそうなとき、
コミュニケーションやらなにやらうまくいかずに放り出してしまいそうなとき、
まずは進んでみよう、と腹をくくる言葉として、心に刻んでおこう、と思いました。


編集後記


結局スレッタは戦いに勝利します。ガンダムならではのダイナミックな
バトルシーンも見どころなので、ぜひアニメをご覧ください。

彼女の芯の強さを表しているシーンで僕が好きなのが、
後日、戦いに敗れたグエルというキャラが学園で笑いものにされているとき、
スレッタは『逃げない人を笑うのは、ダメ、なんです』と言う場面です。

他の同級生は鼻白んだような雰囲気になるのですが、
負けた弱いやつを笑ってもいい、という風潮に反旗を翻し、
1つではなく2つを得ようと挑戦した勇気を称えるその姿勢が、
日ごろの気弱な態度に比して意志の強さを感じ、とても魅力的なキャラに映りました。

それでは、次回もお楽しみに!

横田 悟