シンカメールマガジン
『 真価と進化 』

SHINKA Mail Magazine

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2023.4.12号 VOL.181
子育ての予習

こんにちは。株式会社シンカの横田と申します。

4月は新入社員や期の始まりなど、新たなスタートの季節です。
私は今年で4年目になりますが、
私と同い年で4月から博士課程や新社会人、転職などで新たな挑戦をする友人が
おそらく最後となるピークを迎えました。

ここからは自分からアクションを起こして挑戦をしなければ何も変わらない環境です。
かくいう私も、このまま忙しない日々を過ごす中では何も変わらないと、
自分が今まで触れてこなかったことに少しずつ触れていくことを
今年のテーマの一つにしようと考えています。
今週は育児についてです。
男女共同で育児にあたることが徐々に当たり前になりつつある社会で、
独身男性の一人が何を思っているかを表現できればと思います。

それでは、『 真価と進化 2023.4.12号』、最後までお付き合いください。



子育ての予習


先日親戚の法事に向かう途中、車両内でベビーカーを引いたママさん3-4人と居合わせました。
電車内はベビーカーが悠に入るスペースはあれど、座席は埋まっているような混雑具合。
大人たちでさえストレスがたまる密室での移動時間、元気な子供たちはキョロキョロとあたりを見回し、
手に持ったおもちゃをガチャガチャ鳴らしながら身体を動かします。
そんな様子を見てお母さんたちは抱きかかえておとなしくさせようとし、
子どもたちは疲れなどからかしばらく泣き出し、やがてふかふかな布切れを触って落ち着いて
眠りにつくのでした。

社内での子どもの泣き声に文句を言うような人はおらず、むしろ親子に
席を譲る優しいサラリーマンの姿がありました。しかし明らかに困っているお母さんに
手を差し伸べようとする人は僕を含めおらず、かくいう僕も社会全体で孤独なお母さんを支えられたらいいのにな
と思うだけで、ただ他人ごとのようにその場を眺めてやり過ごしました。

その後の法事の場で、年上のいとこたちが1~2歳の子どもを3人連れてきていました。
電車で見た子供たちより少しだけ年上のようでしたが、それでもまだまだ厳粛な場で
落ち着いたままではいられません。
親戚の子というひいき目もあってほほえましく見ていられましたし、自分もおままごとをしたりと
遊ぶことはできましたが、ふと面倒の見方が全くわからないことに気づきました。
泣き止ませ方や、疲れたかどうかの様子、語彙の少ない中で何を言おうとしているのか、
わからないがゆえにおっかなびっくりでしか関われていないことに気づきました。

電車内でなかなかお母さんの助けができないのは、他人の子だから迷惑かもしれない、
というのが最も大きな理由だと思います。親からしても、
感染を危惧し他人に触れさせたくないというのもあるでしょう。
ただ私のような子どもの面倒を見た経験がない独身男性にとってみれば、
単に「どうしたらよいのかわからない」からただ傍観するしかない、というのも
ひとつの理由だと気づきました。

はじめはどうしたらよいのかわからないのはお母さんもお父さんも変わりません。
いとこたちも、いろいろ調べたのは子どもができてからだと話していました。
いとこの一家はお嫁さんの仕事の年収が高くまた残業も多いため、
いとこが主に平日の家事育児を担当しているとのことでした。
育児休暇もかなり長く取得し、一時は無給の期間もあったとのことです。
制度や届け出など、わからないことだらけの毎日だということです。

そんないとこへ、自分の無知さを知った私は、
就活生の質問よろしく、「今から将来の育児に向けてできることはある?」と質問してみました。
すると、「育児の本をパラっと見ておくといいよ」とアドバイスをいただきました。
細かいことは都度ネットで調べる方が最新で楽だが、大まかの流れは読みやすい本で
手が空いた時に眺めるようにしている、とのことでした。
妊娠がわかるまで準備ができていなかったからあわててネットで調べたが、
情報が多すぎて混乱したので、本を読むと整理ができたようです。

後日、私は書店で本を探すことにしました。
事前にネット記事で目当ての本にあたりをつけ、実際に眺めてみて購入をしました。
そこで気づいたことは3点ありました。

①育児の本の種類の多さ
ネット検索でキュレーションメディアの書籍紹介記事をいくつか読みましたが、
3度として同じ本は出てこないというぐらい多岐にわたっておりました。
参考書のように「決定版」のようなものがなく、栄養学や心理学に寄せて
専門性が高いもの、月齢によって細分化したものなど、
特化した書籍が複数あるという印象でした。

②書籍の色使い
黄色やピンク、水色といった明度の高い暖色が多く、
並んでいる幼児向け絵本のコーナーと似ておりましたが、
寒色系でシンプルな隣の学術書コーナーとは全く違う印象でした。
ここで違和感を抱いたのは、育児の本については親がざっと見るもので、
幼児が見るものではないという点です。
育児本が幼児向け絵本と同じく幼児が好むような色使いの本であったら、
かえって子どもが育児本を手に取って読んだりするのではないか、ということでした。
もちろん、親が子どもと遊びながら読んだりすることも想定して幼児にも
見やすい色遣いにしているのだと思うのですが、
私にとっては正直とても見づらく、コーナーとしても男性が寄り付きにくい色になっていると感じました。

③パパ向けの育児の本
本棚の一角には、パパ向けの本も取りそろえられていました。
育児書よりスペースは狭いものの、
パパ向けの本は、いずれも黒や明度の低い黄色などの色で装丁がされておりました。
内容を見ると、「育児にどうかかわるか」や「将来の貯蓄・行政の制度」、
また教育方針に関して論じている新書の類など、
おむつのつけ方・抱っこの仕方などが書かれている育児の本とは扱っているトピックが異なっておりました。

ニーズのなさで作られていないということもあるかもしれませんが、
男性が手に取りやすい育児のHow to本があったらなと思いました。


結局ピンク色の装丁の育児のHow to本を購入し、時々ふと眺めるようにしております。
心理学を専攻していたため学生時代に月齢ごとの幼児発達については言葉で学んでいましたが、
実際どういうお世話が発生するのかなどは全く知らず、新鮮な気持ちでページをめくっています。
いつかこの知識が生きるときが来ると思って、大切に学んでいきたいと思いました。


編集後記


いとこの子どもをかわいがる祖母や僕の母を見ていると、
かつて自分も同じようにかわいがられてきたことを実感しました。

大人になった今ではかつてのように一挙手一投足に寵愛の声を受けることはありませんが、
遠くから見守っていてくれているという愛が形を変えて注がれていることも実感しました。

次は自分がその愛を誰かに伝えていけるような人間になっていきたいと感じさせられました。

それでは、次回もお楽しみに!

横田 悟