2015.12.24号
日本のエネルギー問題について考える。
メリークリスマス!
株式会社シンカメールマガジン『 真価と進化 』編集局です。
今年も早いもので、一年の締めくくりの時期になり、
また、本メルマガも、2015年最終号となりました。
先日、縁あって経済産業省官房長 嶋田 隆氏との懇親会に出席させて頂き、
「今後のエネルギー政策」についてお話を伺ってきました。
社会問題の1つであるエネルギー問題。
これより書かせて頂く内容は、既に発表があった内容ばかりかと思いますが、
復習がてら、改めて本問題について考えるきっかけにして頂けますと幸いです。
それでは、『 真価と進化 』2015.12.24号、最後までお付き合いください。
日本のエネルギー問題について考える。
1.震災によるエネルギー供給ショック
<エネルギー政策の4つの基本的視点(3E+S)>
①安定供給(自給率が高い):Energy Security
②経済効率(コストが低い):Economic Efficiency
③環境適合(CO2が少ない):Environmrnt
④安全性 :Safety
震災後、自給率は落ち、コストとCO2は上がりました。
安全性の確保は一層重要になってきています。
①自給率
2010年:20% → 2013年:6%
②エネルギーコスト
電気料金の総額>2010年度:15兆円 → 2014年度:18兆円
石油等の輸入額>2010年 :17兆円 → 2014年 :28兆円
③CO2排出量
2010年:11億t-CO2 →2014年:12億t-CO2
④安全性
福島の事故 → 安全性重視の世論
2.直視すべき事実① ~日本に完璧なエネルギーはない~
エネルギーを先程の4つの視点で評価をすると、
日本には、この4つを満たす完璧なエネルギーはないことが分かります。
安定供給 経済効率 環境適合 安全性
石油 × × △ -
LNG △ △ △ -
石炭 ○ ○ × -
原子力 ○ ○ ○ ?
再エネ ○ × ○ -
3.直視すべき事実② ~日本はどのエネルギーも捨てられない~
アメリカとイギリスの脱石炭。ドイツの脱原発。
しかし、資源やコストなど様々な問題から、
日本はどの選択肢も捨てることができません。
<日本のエネルギーミックス>
・一次エネルギーのミックス
1970年度 2010年度 2013年度 2030年度
火力全体 92% 82% 92% 76%
(LNG) 1% 19% 24% 18%
(石油) 70% 40% 43% 33%
(石炭) 21% 23% 25% 25%
原子力 0.4% 11% 0.4% 11~10%
再エネ 7% 8% 8% 13~14%
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自給率 15% 20% 6% 24%
※価格はこれ以上は上げず、むしろ下げる方向性である。
※2030年度に上記数値になっても、自給率は、現在のG7、韓国より低い。
※2030年度に上記数値になれば、CO2の排出量は、英米諸国に遜色なくなる。
4.だからこそ、全てのエネルギーの弱点を克服する
①原子力 ~社会的な信頼を取り戻す / 依存度は減らすが活用する~
●原子力の信頼性を高める4つの課題に対して、政府一体となって取り組む。
・依存度低減
・安全・災害対策
・使用燃料対策
・福島の復興
●原発の再稼働:再稼働に向けた取り組みが進む一方で廃炉も進む。
・再稼働した炉 :2基
・新規制基準絵の適合性確認を申請した炉:24基
・適合性審査未申請の炉 :20基
・廃炉を決定した炉 :14基
②再生可能エネルギー ~高価格が課題 / 固定価格買取制度を改革する~
●再生可能エネルギー電源は各々特性がある。
・太陽光 :自然変動、高コスト、未稼働案件が多い。
・風力 :適地が偏在、開始までの期間が長い。
・地熱 :環境規制や地元調整で開発までに時間がかかる。
・水力 :非常に安定的だが、適地は開発され尽くしている。
・バイオマス:高コスト、国産バイオマスの燃料としての供給量が不安定。
※2030年度のエネルギーミックス目標値に対し、全てが不足している。
太陽光のみは未稼働量を加えて何とか目標値に達している状況。
※欧州は導入先行し、再生可能エネルギー拡大。日本はまだ低水準。
2014年における再生可能エネルギー比率
→日本:12.2% / 独:26.2% / 英:19.4% / 仏:16.1% / 米:12.9%
●固定価格買取制度の見直しと方向性
・買い取り費用の抑制
→国が定める買取価格をコストベースではなく、
政策的に引き下げられる制度(入札方式等)への変更を検討。
・太陽光の未稼働問題
→未稼働の事業者発生を抑止、コスト効率的な事業者の参入を促す仕組みを検討。
・電力系統面での制約
→再生可能エネルギーの導入ポテンシャルを踏まえ、国民負担にも留意しつつ、
広域での系統整備の長期方針・計画の策定。
③省エネルギー ~技術で省エネを無理なく進める / 競争力と生活向上に繋げる~
●省エネはエネルギー投資の源。経済成長とCO2排出抑制に繋げる。
・「エネルギー確信戦略」を策定。
●製造、流通、家庭、自動車の4分野で省エネに取り組む。
・各分野とも、トップランナーに照準を合わせる。
・家庭分野での主な施策:リノベーション支援、スマートメーターの全国設置
④化石エネルギー ~脱化石依存を進める / 資源外交に力を入れる~
●再生ネルギーや省エネルギー、原発再稼働を進めても、
化石燃料はやはり最大のエネルギー源
※日本における一次エネルギーミックスの化石エネルギー比率
→2013年度:92% → 2030年度:76%(全体の3/4)
●石油は中東依存。天然ガスもある程度中東依存。石炭は中東以外から。
・直近はロシアがターゲット。
●中東依存の石油あ資源外交が重要。政府レベルの交渉が必要な国が多い。
編集後記
聖なる日に真面目な話となってしまい恐縮ですが、
エネルギー問題についてニュース等で目にすることはあっても、
詳細の数字や細かい内容までは学ぶ機会はなかったので
改めて、エネルギー問題について考える良いきっかけとなりました。
そして結局、日本という国では原子力事業は
必要不可欠なものだと再認識することとなりました。
「必要だから」から「する」のではなく、
「する」にしても、国民が安全に暮らせる様に最大限の努力が必要ですね。
直接何かできるべきではないですが、他人事ではなく自分事と捉えて
エネルギー問題解決に向けて、少しでも貢献できると良いなと思いました。
(加地 保菜美)
2015年も、本メルマガのご愛読、ご声援ありがとうございました。
2016年も、より一層満足度向上を目指してまいります。
良いお年をお迎え下さいませ。
(株式会社シンカメールマガジン『 真価と進化 』編集局)