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『 真価と進化 』

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2017.08.30号
「成長教」からの脱却

こんにちは。株式会社シンカメールマガジン『 真価と進化 』編集局です。

今年も高校球児たちの熱い夏が終わりました。
私は岩手の実家に帰省し、甲子園を見るのが例年の習慣になっています。

今年は埼玉県の花咲徳栄高校が、広島県の広陵高校を14-4の大差で下し、
埼玉県勢初の夏の甲子園大会制覇を果たしました。
埼玉県民の皆様、本当におめでとうございます。

岩手県出身の私としては、盛岡大附属高校や、
同じ東北の仙台育英高校に優勝してほしかったのですが、
またもや東北勢の全国制覇はならず。

大阪桐蔭高校と仙台育成高校の9回裏、
大阪桐蔭高校のファースト選手がベースを踏み外して逆転サヨナラ・・・
人生最後の野球だと必死に頑張る球児たちのドラマには涙を堪えられませんでした。

人生一度きり、今日が人生最後の日だとしたら何をするか?
そう思って仕事に取り組まなければいけないなと、
一年に一度心を洗われた夏休みでした。

さて、単なる甲子園談義から話は一転、
今回は私たちが当たり前だと思い込んでいる「成長教」について、
考えてみたいと思います。


それでは、『 真価と進化 』2017.08.30号、最後までお楽しみください。


「成長教」からの脱却


弊社では、自社の会社説明会で代表である私が
直接学生さんに会社のミッション、ビジョンを語りかける方法を取っています。

会社のミッションを
「社会問題を解決することで、持続可能な社会を創造し、
私たち一人ひとりの幸福度向上を追求する」
と定めているため、後半のグループワーク選考にて
日本の社会問題を洗い出し、その解決策を考えていただく時間を設けています。

18卒採用では約20回のグループワークを見てきましたが、
十中八九、日本の社会問題の根本は「少子化」であるという答えに辿り着きます。
このままでは、2050年には1億人を割り込んでしまうと。
GDPが縮小して、グローバル競争に負けてしまう、アメリカ・中国にやられてしまう、と。
だから、保育所をもっと建てて、残業をなくして、社員の給料を上げて云々、
という解決策が必ずセットです。

その捉え方が本質的なのか、ずっと疑問に思っていた私は、
日本の人口推移を調べてみたくなり、総務省統計局のHPを開いてみました。
そこには衝撃の事実が・・・

太平洋戦争終結時の日本の人口は、なんと、約7200万人。
2075年にようやく7000万人まで減る予測ですから、
「元に戻る」だけなのです。

http://www.stat.go.jp/data/nihon/02.htm

このデータを学生に見せた時、一人の学生がつぶやきました。
「なるほど・・・人口減少は問題ではないですね・・・」

私達大人も、学生も、子供達も、
無意識に、人口は増加すべき、経済は拡大すべき、企業は成長すべき・・・
という「成長教」に洗脳されてしまっているのです。

法政大学教授・水野和夫氏の著書「資本主義の終焉と歴史の危機」によれば、
「利潤を得て資本を自己増殖させることが資本主義の基本的な性質なのですから、
今の日本のように利潤率が極端に低いということは、利潤が得られる投資機会が
もはやなくなったことを意味しています。」
とあります。

さらに、

「成長とはより遠くへ、より速く行動することで達成できるのですが、
そのためにはエネルギーの消費が不可欠です。もっと成長を欲することは、
資源をもっと消費することにほかなりません。永久エネルギーを見つけない限り、
化石燃料は必ず枯渇することになります。」

「仮に、中国とインドが今のOECD加盟国の所得水準、一人当たりGNI=34,500ドルに
達したとしたら、世界の電力消費量は約68%増加し、さらにBRICsをはじめとした
人口の多い国々が近代化に成功すると電力消費量は2倍、粗鋼生産量は3倍になり、
資源が有限であることを鑑みれば、
臨界点に達するスピードをより早めていることにほかならない。」

と述べています。

私たちは、化石燃料、鉱物資源、森林、土地、水、食料、人間の時間などが
「資源は無限にある」という前提の上に成り立つ「成長教」が
正しいものと思い込んでいます。
しかし、それは現実にはありえないことであり、どこかで限界を迎えます。
その時に、最も必要とされるのは「資源」です。

それならばむしろ、私たち人間の時間を含む「資源」を大切に
扱うことの方が今後より求められることになるのではないでしょうか?

水野先生の言葉を借りれば、「より近く、よりゆっくり」な
「定常状態」を目指す方向もアリではないでしょうか。

矛盾するようですが、弊社はある一定程度までの成長を目指しています。
ただし、それが資本主義に基づいた「成長のための成長」ではなく、
「目的のための成長」でありたいと常に気をつけたいと思っています。

日本の長期予測の捉え方の一つとして、
ご参考にしていただければ幸いです。

編集後記

なぜ人口維持させ、経済成長させる必要があるのか?
それは、日本の財政が厳しいからだとの仮説に至りました。

そこで、財務省のHPを見ると、平成29年の一般会計歳出総額は97兆円。
それに対して税収は58兆円。その他収入は5兆円。
差額の34兆円は公債金で賄われています。

http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/002.pdf

このためには、歳出を減らし、歳入を増やすことを
本気で取り組まなければいけないということが、素人の私でもわかります。

ところで、歳入を増やすといっても、
仮に、すべて税収で賄えるようにするためには、
単純計算でGDPを1.6倍にしなければなりません。
モノが行き渡り、食が細っていく日本では実現不可能としか思えません。
よって、グローバルで稼ぎ、インバウンドで稼ぎ、
かつ、抜本的な税と社会保障の一体改革を行わなければなりません。

「成長教」からの脱却が自然な姿であるのに、
このパラドックスを抱えながら生きていかなければいけない
現役世代の私たちは、本当に苦しい世代であります。

よって、個人にとっては「成長しなくてよい」のではなく、
将来、定年延長が70歳とも75歳とも言われる中、
むしろ1人あたりGDPを高め、現役引退まで価値を生み出し続けられるよう
「成長しなければ生きていない」ので、
草食化している場合ではありません。
世知辛い世の中ですが、共に強く生き抜いていきましょう!


それでは、次回のメルマガもお楽しみに!

(田中 裕也)