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『 真価と進化 』

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2017.11.22号
働き方改革は“働かない”改革ではない

こんにちは。
株式会社シンカメールマガジン『 真価と進化 』編集局です。

明日11月23日(木)は、勤労感謝の日ですね。
制定の意味は、「勤労を尊び、生産を祝い、国民がたがいに感謝しあう日」だそうです。
戦前、11月23日は「新嘗祭」〔にいなめさい/しんじょうさい〕として
農作物の恵みを感じる日だったことを受けて、この日が農作物の生産以外にも
労働は幅広いことから「勤労」感謝の日と命名されたようです。

さて、今回は、昨今耳にしない日はない働き方改革について、
2年半前から弊社自身の取り組みについて、まだまだ不十分な点が多々ありますが、
ご紹介させていただき、経営者・人事・管理職の皆様のご参考にしていただければと思います。

それでは、『 真価と進化 』2017.11.22号、最後までお付き合いください。


働き方改革は“働かない”改革ではない


弊社の働き方はハードワークで全く自慢できたものではありませんし、
大企業のように潤沢な資金と専門家もおりませんから、お手製で取り組んでいるわけですが、
2016年9月に働き方改革実現会議が設置される1年前の2015年春から
弊社では「働きがい向上プロジェクト」として取り組みを始めました。

結果、社員1人あたりの仕事量は30%削減、会社の利益は10倍になりました。
(元が自慢できる水準ではないので、話半分で捉えてくださいませ。)
その経緯をご紹介し、皆様の取り組みのご参考にしていただければとお思います。


プロジェクトを始めるきっかけになったのは、社員の辛そうに働く顔を見たときでした。
その元凶は、「会社の利益が出ていないから、もっとやらなければいけない」という事情でした。

利益が出ない理由は、売上があがらないか、原価をかけすぎているか、のどちらかです。
売上≒仕事量ですから、社員の仕事量を減らしてあげたいと思うならば、
まず、原価(協力会社への支払い、販売費及び一般管理費)を削減するしかありません。

ところが、原価削減に取り組もうとしたところ、これがなかなか削減できません。
その原因は、お客様との取引条件、会社運営ルールにあったからです。
一社員の立場では、お客様(神様)、会社(目上の人)に交渉することができないからです。

そこで、まず取引条件の基準をつくり、お客様に取引条件の見直しをご相談してご協力いただき、
適正な取引金額にしていただいたり、お客様にとって価値が低いのに弊社にとって工数がかかる仕事の
業務ルールの見直しをご提案し、ご了承いただいたりしました。
(ご協力いただいたお客様、本当にありがとうございました。)


すると、今度は会社運営ルール改善のフェーズに入ります。
ただし、全てのコストの削減アイディアは私一人では思いつきませんし、
そもそも社員は働き方改革に何を求めているかを理解しなければいけないと思いました。
そこで、全社員から改善のアイディアを募るアンケートを取ることにしました。

アンケートの要点をまとめると、以下の結果となりました。

(以下、優先順位の高い順)
1.遅い日でも21時までには帰れるようにしたい
   ・残業の原因分析をきちんと行い、具体的に改善する
   ・人によって業務負荷が偏っているため、分散する
   ・会議の効率化(無駄な会議の廃止、会議時間の短縮)
   ・有給/代休取得奨励
   ・ノー残業デーをやってみる

2.役割の再定義をしてほしい
   ・役割マップを作成し、まず不要な仕事を削減した後に、役割を再配分する
   ・機能が不足している部分は、中途採用を行う
   ・部署ローテーション、社内インターンをやってみたい

3.社内業務が煩雑なので、効率化してほしい
   ・IT化したい
   (販売管理、社内申請、経費精算、勤怠管理、ワークフロー、契約書、請求書)
   ・プロへの外注(経理、法務、人事、総務)
   ・アルバイトの活用

4.各種制度を見直し、充実させてほしい
   ・福利厚生サービス、使っていないから解約したい
   ・就業規則の改定
   ・雇用形態、勤務形態の見直し
   ・評価制度、給与制度の見直し
   ・会社の費用持ちで、懇親会を支援する
   ・退職金制度を創設
   ・マネジメントスキル、資格習得に会社が支援をする


これらの施策を全て実行できたわけではありませんが、
この2年半で、社員1人あたりの仕事量を30%削減し、会社の利益は10倍になりました。
今でも自転車で営業に行けるようにして、移動時間を削減するなど、取り組みは継続しています。


さて、このアンケートで驚くべき結果がありました。
「労働時間と仕事内容について、満足・不満を回答した理由について教えてください。」
という質問に対して、社員の回答を分析してまとめると、以下のとおりだったのです。

第1位:成長、チャレンジに充てる時間がほしいから(27%)
第2位:社内業務、制度に感じるストレスを解消したいから(20%)
第3位:マルチタスクのストレスを解消したいから(20%)
第4位:疲労回復してパフォーマンス高く働きたいから(17%)
第5位:プライベートを充実させたいから(10%)
第6位:もっと社員同士協力して働ければ、楽しいと感じるから(6%)


仕事に求める動機が、1位(27%)+4位(17%)+6位(6%)=50%もあったのです。

そこで我々は、このプロジェクトを「ワークライフバランス」「働き方改革」などと名づけずに、
「“働きがい”向上プロジェクト」と名づけて取り組むことになりました。


昨今の報道を見ていると、働き方改革=“働かない”改革のニュアンスが含まれているように感じます。
しかし、仮にベーシックインカム制度が導入され、最低限の生活が保障されたとしたら、
私たちは“働かない”でしょうか?いえ、きっと“働く”のだと思います。
それは、自己実現や成長、社会への参加意識、コミュニティ形成のきっかけなどを
労働を通じて求めているからなのだということを根底に理解しておかなければなりません。

働き方改革=働かない改革=社員はなるべく働かずにもらうものをもらいたい子羊だ
という風潮が、財政危機にある日本をさらに破滅の方向に向かわせているようで心配でなりません。

人間は元来、“働きたい”のです。
そして、働かざるもの食うべからずです。

異常な働き方や待遇は改善していかなければなりませんが、
それよりも、もっとやりがいを感じて、楽しく、付加価値の高い仕事を、適正な時間で行えるような方向に
社会全体が向かい、財政危機を乗り越えて、必要な人には支援の手が差し伸べられるような
強くて優しい国家にしていきたいものです。

一部でも貴社の働き方改革のご参考になれば嬉しい限りです。

編集後記

弊社の働きがい向上プロジェクトを推進した結果、その反動としての副作用もあります。
労働時間を短縮するために、合理化・効率化を推進することで「アソビ」がなくなってしまいます。

「そういえば、最近こういうことがあってね~」という雑談を通じた人間関係の構築や、
不要な共有メールを廃止したことによって、他の社員の状況がわからなくなって協力が生まれなかったり、
全く答えの見えないテーマについて会議をすることが後回しになったり、
ということが少なからず、起きているような気がします。

まだまだ発展途上ですので、働き方改革に取り組まれている経営者、人事の皆様、
ぜひお知恵を貸してくださいませ!

では、次回のメルマガもお楽しみに!


(田中 裕也)