2018.05.09号
新規事業の敵は社内にあり
こんにちは。株式会社シンカの田中です。
来年、天皇陛下譲位に伴い、政府は5月1日を「祝日」か「休日」にする
方向で検討に入ったとのこと。もし「祝日」となれば4月27日から
5月6日まで10連休になるようです。
夏季休暇も本人の計画に基づき、自由に取得する企業が増えている昨今、
実は夏季休暇より、年末年始休暇より、ゴールデンウィークが今後最大の
大型連休になっていくかもしれませんね。
シルバーウィークも大型連休になることが多いですから、
いっそのこと、3月・6月・9月・12月と3ヶ月刻みにしてほしいものです!
さて、本日は私がコーチングのコーチからお勧めしていただいた
人材開発研究で著名な立教大学・中原淳教授と研究生の田中聡氏の共著である
「『事業を創る人』の大研究」から、人と組織という観点からみた
新規事業を成功に導くポイントについて、考えてみたいと思います。
それでは、『 真価と進化 』2018.05.09号、最後までお楽しみください。
新規事業の敵は社内にあり
私は職業柄、新規事業の経験者の方と転職相談の面談をすることがあります。
そこで、経験者の皆さんが色々なことをおっしゃいます。
「新規事業担当に急に抜擢されて、驚きました。」
「成功するであろう所までもっていったのに、最後に役員会で却下された。」
「新しい事を生み出す喜びを知ってしまったので、また新しい挑戦がしたい。」
新規事業は、経験したことがないことを成功に導かなければいけないですし、
「千三つ」と言われるほど、成功確率が低いので、
一体、誰が、どのように進めれば成功するのか、不明なことが多い領域です。
そんな新規事業を「人と組織」という観点からどのように取り組めばよいか、
同書は示唆を与えてくれます。
まず、どんな人間が新規事業を成功させる可能性が高いのでしょうか?
①大学時代の学生生活における授業内外の各活動で、リーダーシップを発揮
している
②大学時代に会社員との関わりが多い
③就職活動において、安定志向が低く、挑戦志向が強いわけでは「ない」。
ただし、自分の能力を試せる難しい仕事に挑戦することで成長したいと
考えており、また、将来の起業に対する意識が高い
④入社後、主力事業部門出身者のことが多く、既存事業経験がある方がよい。
ただし、既存事業経験が長すぎると、成功確率は低下する傾向にある。
⑤尖った一匹狼より、組織の様々な資源を動員できる交渉人である方が重要。
⑥まずは実行してから決定要因の秩序を理解する思考特性を持っている。
一般論と合致する部分とそうでない部分があり、新しい発見がありますね。
では、組織はどのように新規事業を担う人材を扱うべきなのでしょうか?
まず、新規事業担当者が陥る困難を理解しておきましょう。
①必要な資源調達や周囲を巻き込めずに停滞する「デスバレー(死の谷)」
②4つのジレンマ
「既存事業部門」─ミスコミュニケーションや“金食い虫”という批判
「経営層・上司」─経営陣の反対、上司による場当たり的なマネジメント、
上司による必勝前提のマネジメント
「部下」 ─戦力人材を確保できない、後手に回る部下育成、
モチベーションの低い部下のマネジメント
「自己」 ─新規事業プランを生み出せない、過去の成功体験に基づく
思考体系の適用と失敗、新規事業部門の解散または
解散の危機
③誰も支えてくれないという孤独感
ついつい起きてしまいそうな事象が盛りだくさんです。
その上で、組織がどんなサポートをすべきなのかを提唱されています。
①新規事業に前向きで、業績志向よりもそのプロセスから学びを得られると
捉える成長志向人材を抜擢する。なお、新規事業初心者よりも、
2回目以降のチャレンジャーの方が成功確率は高い
②上記のジレンマを抱えることになるか、事前予告する
③なぜ新規事業をやるのか、なぜ当人なのか、今の仕事をどうすればよいか
について丁寧に伝える
④事業低迷時の撤退基準と事業好調時のインセンティブプランを明確にし、
当人と会社の間で合意しておく
⑤経営者による内省支援、新規事業経験のある上司の存在、
社外の新規事業担当者からの業務支援を提供する
⑥経営者は、失敗に寛容なよりも、成功に対してコミットメントする方がよい
⑦上司が事業部長・部長クラスの場合は専任で、役員クラスの場合は兼任がよい
こうして見ますと、新規事業の成功の可否は、担当者本人の問題よりも
リソースを提供する組織側のスタンスや扱い方に問題があるように私は感じ、
大きな反省の念を持ちました。
新年度に入り、成長戦略というよりはむしろ「生存戦略」として
新規事業へのチャレンジをしなければいけない企業様も多いと思います。
人材の採用、選抜、マネジメントにぜひ活かしていただければ幸いです。
まだまだ同書には様々な新しい発見が示されていますので、興味をお持ちの
方はぜひ手にとってお読みになってみてください。
編集後記
既存事業vs新規事業という文脈で同書は語られていましたが、
ゼロから「起業」するのはもっと大変なんだろうなと改めて感じました。
動員できる「リソース」すらないのですから。
4月末まで日経新聞の「私の履歴書」に投稿されていた
ジャパネットたかたの創業者・高田明氏の記事を思い出しました。
「手にとって商品選べないのに、ラジオやテレビで商品が売れるわけがない」
と周囲に批判されながら、とにかくやってみて、成功法則を掴みとっていく。
「変わり者」が信念を曲げずに、物事を極端に振り切って取り組むことこそ、
新しい常識の道が拓けるのだと感じ、励まされました。
「変わり者」が「バカ者」と呼ばれるか「天才」と呼ばれるかは紙一重。
恐れずに今後より精進していきたいと思います。
それでは、次回メルマガもお楽しみに!
(田中 裕也)