2018.12.05号
2060年に世界の資源消費量は現在の2倍になる
こんにちは。株式会社シンカの田中と申します。
先日、社内研修の一環で、全社員でSDGsのワークショップに参加してきました。
「経済」「環境」「社会」の3つの指標をもとに、参加者それぞれにミッションが
与えられ、お金を集めたい人、環境保護を徹底する人、社会性(女性の社会進出等)
を訴える人が入り乱れて、活動を行います。
私には「環境保護」のミッションが与えられました。環境保護のためには、
お金と時間が膨大にかかります。しかし、経済的メリットや社会的メリットは
ほとんどありません。
ですから、いくら環境保護に協力を訴えかけても、お金持ちと時間持ちの人は、
自身が確保したいお金と時間を、どうあがいても出してくれなかったのです。
私はとてもショックを受けました。環境保護が大事と誰しもわかっているのに、
そして、環境破壊がやがて自分に大きな影響を与えることもわかっているのに、
目先の大切にしたいお金と時間は守りたいのです。
さて、今回はそんな無力感を感じながらも、地球資源の限界についてOECDが
警鐘を鳴らしている調査結果をご紹介させていただき、我々の社会のあり方について
考え直すきっかけにしていただければと思います。
それでは、『 真価と進化 2018.12.5号』、最後までお付き合いください。
2060年に世界の資源消費量は現在の2倍になる
2018年10月22日、経済協力開発機構(OECD)が公表した
『2060年までの世界物質資源アウトルック(The Global Material Resource
Outlook to 2060)』(プレビュー版)によると、世界の人口が急増して100億に達し、
一人当たりの所得平均も現在のOECD諸国の水準である4万米ドルに近づくため、
2060年時点での世界の原材料資源の利用量(金属、化石燃料等)は、
2011年比で約2倍になるだろうとのことです。
2011年は790億トンなのに対して、2060年には1670億トンの予測。
また、採掘や燃焼などに伴う温室効果ガス排出の増加で、世界全体の
温室効果ガスの排出量は1.5倍以上にのぼるとのこと。
この記事は、日経新聞にも掲載されましたが、極めて小さい記事で、
多くの方の目にも触れられなかったのではないでしょうか。
むしろ、貿易保護主義の回避による「より資源を消費して経済を回すこと」に
世の関心は高いように思います。
資源別に詳しく見てみますと、以下のとおりです。
・金属・・・2011年8Gt→2060年20Gt (2.5倍)
・化石燃料・・・2011年14Gt→2060年24Gt (1.7倍)
・バイオマス・・・2011年20Gt→2060年37Gt (1.8倍)
・非金属鉱物・・・2011年37Gt→2060年86Gt (2.3倍)
技術開発によって、GDP1単位あたりの資源消費量の減少は見られますが、
ごくわずかな影響になっています。また、リサイクル業も3.7倍に成長する予測と
なっておりますが、産業としては鉱業部門の10分の1にしか満たず、その影響は
資源消費量を劇的に減らすまでには至りません。
資源が無限に存在するのならば、そして地球環境への影響がないのならば、
この事実は無視してもいいかもしれません。
しかし、資源には限りがあり、地球環境には影響があります。人類はこのまま
目先の利益を追い求めるのでしょうか?
石油連盟が発表した「今日の石油産業2018」によりますと、
原油確認埋蔵量は2017年時点で16,519億バレル、可採年数は58年となっています。
1970年代には、可採年数は30年と言われていた時代があったそうですが、
技術革新による新規油田の発見や採掘技術の進歩、原油価格の上昇等による
しかし、だからといって、永遠に伸び続けるわけではありません。
また、採掘できれば無限に使っていいのかといいますと、地球温暖化への影響を
考えると、CO2排出は増やしてはいけないという状況に変わりはありません。
学生と面談しておりますと、「途上国の生活が貧しすぎるのに衝撃を受けて、
なんとか豊かな生活に貢献したい」という熱い想いを伺うことがたくさんあります。
その話を聞くたびに、私は「その想いには賛成する。でも資源の限りがあるから、
先進国がその分我慢しなければいけない。世界の資源消費量は2060年に2倍になる。
途上国の経済発展に資源を回すならば、先進国は資源消費を極限までゼロに
近づけなければ、地球環境に影響を及ぼすことになり、結局は気候変動、気温上昇、
森林破壊、などの影響が巡りめぐって自分達に降りかかってくる。それでも
どうしても途上国の経済発展を目指すか?」という想いが込み上げてきます。
消費資源を減少させる技術革新、リサイクルの普及、再生可能エネルギーの加速
など、様々な努力がなされていますが、やはり抜本的な対策が必要なのではないか
と思わざるをえません。
例えば、消費しない方がお金がもらえる、移動しなかった方がお金がもらえる、
荷物を宅配してもらわないとお金がもらえる、など、
これまでとは正反対の概念です。
消費(=資源消費)することが経済規模の拡大となり、消費に対してしかお金が回らない
という社会通念から変化を起こさなければいけないと、最近は思うようになりました。
皆様には、資源消費爆発への対策として、何か良いアイディアはお持ちでしょうか?
ぜひ教えていただければと思います。
編集後記
スターバックスがプラスチック製ストローの廃止を決定したニュースを見てから、
私も普段コンビニで買い物をする際に、箸・フォーク・スプーン・ストローを
自動的に入れられないように、毎度断るようにしています。
こんな1人の人間のちっぽけな行動では、世界の資源消費量の削減には全く
インパクトを出すことはできません。また、資源消費量の内訳を分析すれば、
日本中からプラスチック製ストローが全て紙製ストローに置き換わったとしても、
きっと資源消費量へのインパクトは極めて小さなものだと思われます。
江戸時代は完全資源循環型社会だったと言われています。
鎖国時代ですから、資源はすべて国内で賄っていたわけです。
当時、江戸は人口100~120万人で、世界最大の都市だったそうです。
政令指定都市レベルの街でも、完全資源循環型社会が実現できるのですから、
現在の科学技術をもってすれば、今でも実現できそうな気がしてきます。
歴史に学び、将来にわたって資源枯渇の不安がない社会を実現するために、
やはり大きなインパクトを出せるように、事業としてチャレンジしなければ
と改めて感じさせられました。
それでは、来週のメルマガもお楽しみに!
(田中 裕也)