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『 真価と進化 』

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2019.01.23号
立山民と利便性の放棄

株式会社シンカの菅原と申します。
年末年始はみなさまいかがお過ごしでしたでしょうか。
 
私は富山の実家で両親と兄弟5人、姪っ子と犬というとても賑やかな年越しでした。
 
今回はそんな富山県の観光地でもある、立山で私が住み込みで働いていた時のお話です。
それでは、『 真価と進化 2019.1.23号』、最後までお付き合いください。


立山民と利便性の放棄


富山県で最も有名な観光地の一つが、3,000m級の山々が連なる立山連峰です。
度々映画の舞台にもなる、登山家憧れの山である剣岳や、
麓にある日本最大規模のダムである「黒部ダム」、
20m近くの雪壁の間を歩くことができる「アルペンルート」など様々な見所があります。
 
大学在学中に、ふと豊かさを追求し続ける社会のあり方に対して思うところがあり、
思いっきり便利さから離れて生活してみようと決意し
標高2450mにある、ホテル立山で2ヶ月間住み込みで働いてみました。
 
期待していた通り、ホテル立山での生活は本当に不便でした。
下山するためのバスは17時が最終ですし、
従業員のライフラインである売店は20時に閉店し、
もちろんボーリングもカラオケも居酒屋もありません。
 
しかし、実際に住み込み生活常連の先輩方に(立山民と勝手に呼んでいました)
仕事以外の時間の使い方、お金の使い道について聞いていくうちに
いくつか面白い「気づき」がありました。
 
・欲しいものはすぐには手に入らない、必要なものは事前に備える。
日々買い物ができる唯一のライフラインは室堂駅にある売店なのですが、
品揃えは登山グッズや飲み物、お菓子に偏っています。
何より20時には閉店してしまうので、終業後には何も買えません。
さすがのアマゾンも受け取りまで通常の日数+3日ほどかかります。
ですので、立山民は週に一度の休暇で下山したタイミングで
欲しいものをまとめて買います。
どうしても必要なものはルームメイトや同僚同士で融通します。
 
・娯楽は楽しければなんでもいい。エンターテイメントはお金で買わなくてもいい。
大学時代はボーリングにハマっていた私ですが、
立山にはボーリング場もカラオケも居酒屋もありません。
一方で、立山民は非常に生き生きと生活をしていました。
最終バスが終わり人がいないロータリーでバレーボールをしたり、
筋トレをしたり、自前のドローンでレースをしたり。
最初は困惑しましたが、1ヶ月も経たないうちにすっかりそんな生活に慣れている自分がいました。
 
・立山民はコストに対する意識も情報感度も高い。
立山民は住み込みで働いているため、家賃も食費も掛かりません。
だからこそなのか、自分が享受する利便性やそこにかかるコスト意識・情報感度が高く、
今も日本各地の山を転々としている当時の58歳のルームメイトから
携帯電話のキャリアごとの特徴や選び方について詳しく教えてもらいました。

 
物質的な豊かさが向上するに伴い、資源の消費は進んでいきます。
また、私たちが利便性を追求する限り、「利便性」に資本が投下されていきます。
つまり持続可能な社会を実現するためには、
物質的な豊かさを中心とした経済の循環から抜け出すことが必要なのではないでしょうか。
 
東京の街並みが綺麗になる事ではなく、
モザンビークの子供が卒業するまで小学校に通えるような仕組みを構築することにお金が使われるような、
私たちの時間がコンビニを24時間営業する事ではなく、
バイオマス発電を運転することへより使われるような
そんなパラダイムシフトを実現するためには一定以上の豊かさを
求めないという消費者の姿勢が必要だと思います。
 
それは一見高いハードルのようにも思えますが、
立山民との生活を通じて、そんな転換への可能性が感じられました。

編集後記

年末年始モードから仕事モードに切り替えるこの時期に、
今年は非常に風邪が流行っているように感じます。
 
私自身も実家で年を越し、
東京に戻ってきてすぐに喉をやられてしまいました。
調べてみると、なんと東京の1月の平均湿度が約40%であるのに対し、
北陸の平均湿度は80%を超えるそうです。
 
住む地域が変わると、体調管理のための工夫も
変えなければいけないということを痛感しました。
みなさまはくれぐれも体調にはお気をつけて。
 
それでは、次号をお楽しみに!
 
(菅原 隆)