2019.04.17号
多様性<ダイバーシティ>の変遷
こんにちは。株式会社シンカの菅原と申します。
弊社では、新卒採用の母集団形成において
学生と1on1で面談を行うスタイルを取っています。
学生に合わせ企業の魅力の打ち出し方を変えること、
ヒアリングした学生情報を選考設計に活かすことが目的なのですが、
相互にコミュニケーションを取るため学生からも好評となっています。
私も採用担当として学生と話す中で、
近頃の学生の関心どころに偏りがあると感じております。
今回はその中でも多様性<ダイバーシティ>という考えの変遷について調べました。
それでは、『 真価と進化 2019.4.17号』、最後までお付き合いください。
多様性<ダイバーシティ>の変遷
学生が多様性という言葉を発する文脈は様々ですが、
大きく2種類に分類されるように思います。
・多様な意見、多様性のある組織を受容できるという自己PR
・多様性のある企業で働きたいという企業選び
このいずれも、私にとってはピンと来たことはなく
多様性を受容できる強みは業務のいつ発揮されるのか、
受容するだけでは、コミュニケーションや会議が混沌とするだけではないか。
多様性のある企業を追い求める裏側には、自分の意見をありのまま受け入れてほしいという
ある種、個人のわがままがあるのではないか。
という疑問をいつも抱いてしまいます。
しかし、あまりにも「多様性」の意義を訴える学生が多いため、
早稲田大学教授 谷口真美 著の論文である
組織における ダイバシティ・マネジメント(2008)をまとめる形で
多様性について整理してみました。
多様性という言葉はもともと、自然科学で用いられる用語ですが、
会社組織のあり方で使われるようになった歴史も古く、
その起こりは1960年代のアメリカにあり、時代とともにそのあり方も変化しています。
論文を要約すると、3つの転換期があります。
①公民権運動や雇用機会均等法の公布
1964年に交付された公民権法によって、人種や性別による雇用機会の差別が
禁止され、企業は法令遵守のため、多様な人材を採用しなければならなくなりました。
つまり、この時代に企業が多様性を取り入れる目的は、単なる法令遵守でした。
②法令遵守から経営問題へ
1987年、米国労働局が作成した、以下のような内容のレポートをきっかけに
多様性の意味するところは経営に直結する問題として大きく転換しました。
・米国経済は堅調に成長する
・国内の労働力は現状不利な条件にある、高齢化・女性化が進む
今後13年間で増加する白人男性の労働力は15%である
国内の経済成長ほど、既存の環境で活躍が見込める人材は増加せず、
女性、マイノリティ、移民の活躍なくして企業の成長はありえないという
メッセージを企業は真剣に捉えるようになりました。
この時代から、雇用できる人材の幅を広げるために多様性を取り入れるようになりました。
③ダイバーシティ・マネジメントの時代へ
1991年に改正公民憲法が締結されました。
そこでは、例えば黒人学生の試験得点をかさ増しし、就職に有利にするような
慣例的に行われていた、雇用機会の結果的均等が禁止されました。
これをきっかけに多様性の追求を単なる採用や定着のための施策ではなく、
個々人の労働力や価値の最大化を目的とした施策と捉えられるようになりました。
つまり、単に相互理解を深め関係性を改善するだけでなく、
多様化した労働力を活用するための組織制度の改革をしなければならないという
機運が高まったのです。
多様な人々をマネジメントし、組織のあり方を変化させるという
非常に高度なマネジメントの能力を問われるようになりました。
ここで日本に目を向けると、
現在日本政府が推進しようとする動きは、変化する労働力の活用と
ダイバーシティ・マネジメントによる生産性の向上、
つまり②、③に該当するように感じます。
そして企業としてもも採用がますます厳しくなる中で
多様な人材を許容できる環境を整備し、事業の維持拡大のための人材を確保し、
個々のパフォーマンスを阻害しないような、高度なマネジメントの能力が求められています。
一方で、同じ目的に立ち返ったとき、個人に求められるものは何なのでしょうか。
私には、単に理解され受容されるという風潮に安心感を覚えるのではなく、
自分の持つ多様性を理解し、それを企業や顧客の価値に転換するための環境や
マネジメントと向き合わなければならないという危機感を感じます。
今回の整理を経て、改めて身が引き締まるような思いに至りました。
編集後記
先日、サカナクションのライブに行ってまいりました。
彼らの強いこだわりにより、300個近くのスピーカーが配置され
映画館にいるような臨場感があり、大興奮でした。
なんでも、チケットは全席完売にもかかわらず、
公演の収益は赤字とのこと。
こだわりを持って、自分の仕事に取り組むその信念を
素直にかっこいいと感じました。
それでは、次号をお楽しみに!
菅原 隆