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『 真価と進化 』

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2019.07.31号
「誰一人取り残さない社会」への希望

こんにちは。株式会社シンカの分部と申します。
 
以前、アミタホールディングス(株)代表の熊野英介さんの講演を
聞く機会がありました。
 
創業された、約40年も前から「持続可能社会」の実現を目指されており、
2011年以降は「自然資本と人間関係資本の増幅に資する事業のみを行う」ことを
定款に掲げて事業を行っていらっしゃいます。
 
熊野さんのお話には、人間の弱さを認めたうえでの愛情、優しさと、
人類は必ず幸福な未来を創るという力強さを感じ勇気をもらいました。
大変感銘を受けましたので、ご紹介させていただきたいと思います。
 
それでは、『 真価と進化 2019.7.31号』、最後までお付き合いください。


「誰一人取り残さない社会」への希望


アミタホールディングス(株)代表熊野英介さんは、
これからは「信頼が資本になる社会」になるとおっしゃっています。
それはなぜなのか?そしてどんな社会なのか?
概要をお伝えしたいと思います。
 
※HP「啐啄同時」に記載されている内容および講演内容から
 概要を抜粋してご紹介させていただきます。
 
「啐啄同時」
https://www.amita-hd.co.jp/vision/message/
 
 
■精神的飢餓貧困に陥っている先進国
・かつて人間は、弱いから、集団生活をして繁栄してきた。
 生命維持のため、生命を脅かす飢餓貧困の恐怖から逃れるため、
 安心するために、採集・農耕という労働を始めた。
 
・安心を手に入れた後、社会的な安定を求め、
 17世紀に産業革命を起こし、爆発的な物質的満足を手に入れた。
 「所有と消費の最大化=幸福の獲得」としてきた。
 経済的成功こそが人生における成功であるという価値観が広がった。
 
・その結果、個人や地域の格差が広がり、地域益を守ってきた「共同体」の
 結束力が劣化。多くの地域で過疎化が進み、相互扶助の関係性が希薄化し、
 本来守るべき森里川海の自然資本までも劣化するという負の連鎖が起きてしまった。
 
・事業体においても、金融経済が世界経済を牽引していくに伴い、
 日本型経営の「三方よし」は時流遅れとなり、
 企業価値を金額に換算する株式会社の商品化が進み、
 日本型経営のよいところであった仲間意識や帰属意識が希薄化。
 個人能力主義への移行により、数値化できるものだけが評価され、
 仲間・顧客との共感性、信頼性や経営の情熱性など、無形の美点が薄れた。
 職場における人間関係資本が劣化したことで、孤独がより広がった。
 
つまり、地域や企業が経済的欲求の獲得によって、自らの生命を守ろうとした結果、
社会に「孤独」という精神的飢餓貧困が広がってしまった。
「衣食住足りて不幸になる」という人類史上初めての問題に直面している。
 
 
■「安定社会」から「不安定な環境でも安心できる信頼社会」へ
・人間は、生まれついて「社会性」を有する生物であり、
 「一人になりたくない」というエゴが道徳を生み出したのではないか。
 
・そして人間の道徳性は、しばしば劣化することがあるのも事実。
 しかし、人間の脳が認識できる小規模な人間関係(※)であれば、
 道徳性の維持を期待できるのではないか。
 ※イギリス人類学者ロビン・ダンバーによる定説:
 「人間の脳が人間関係を理解できる範囲は、およそ150人が限界である」
 
・人は、地域の共同体や事業の機能集団のために貢献することで、
 信頼できる仲間を得、個人としての自己肯定感を充足させる。
 組織は説明を省けるような「共感性」を得られる価値共有を行うことで、
 ステークホルダーの支持を得る。
 人間性が感じられる範囲の小さな集団のすべてが、すべての組織とつながり、
 影響しあえるネットワーク型の組織集団の社会にしていく。
 
・新しい時代をつくる新しい組織という共同体は、
 「安心」を確保するための「監視モデル」でなく、
 近代的機能体の「信用」を確保するための「契約モデル」でもなく、
 「信頼」を確保するための「共感モデル」で構築されていなければならない。
 
我々に必要なのは「不安定な環境でも安心できる信頼社会」をつくること。
それは「自立型自治共同体」という小規模な共同体を単位として、
それらが高度ネットワーク化された社会をつくることなのではないか。
 
この社会の特徴は、
①共感や互恵にもとづくコミュニケーションが発生しやすい、
 信頼関係が形成されやすい規模で共同体を形成する
②共同体内で、社会的動機性(生態系の保全・人のつながり等)にもとづく
 購買行動・相互扶助により、自然資本・人間関係資本が循環している
③この共同体が、中央集権の縦割り管理ではなく、個々人の意思にもとづく行動や
 組織の垣根を超えた活動により自治運営されている
④共同体内での経済的安心や社会的安心の確保が難しくなった場合には、
 他の共同体とのネットワークがサブシステムとして機能する
 
こんな共同体としての会社が増え、同じ想いをもつ会社や地域が関係性を築いていく。
このようなネットワークが実現すれば、強大な武力や大規模な経済力に頼らなくても、
地球環境や紛争などの「外的環境からの平和」と、
孤独から逃れて安心を得たいという人類の本能にもとづく「内的精神の平和」を
同時に実現できるはずである。
それは、SDGsに示されている「誰一人取り残さない」社会の実現である。
 
人間誰もが持つ「孤独から逃れたい」という弱さにこそ、
新しい未来を創り出す希望が秘められている。
この本能があるからこそ、人は"関係性"を生み出し、繋いでいこうとする。
そしてできることなら、信頼し合える関係性を紡ぎ、安心を得たいと考える。
この数値化できない"信頼関係"が、数値化できる信用に代わり、
未来を創り出す「資本」となる。

編集後記

SDGs、社会問題解決という言葉がいまやあちこちで聞かれるようになりましたが、
40年も前から危機感をもって事業展開されていらっしゃることに驚きました。
 
社会から安定を享受している場合ではない。
どうしたら自分自身が安心と思えるのか、皆が安心と思える社会は何なのか。
そのヒントが、自分が共感できる共同体であり、信頼という無形の価値。
安定を求める就活生たちにも言い続けなければいけないなと改めて思います。
 
それでは、次号をお楽しみに!
 
(分部 理恵)