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『 真価と進化 』

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2019.09.11号
サンマの不漁は海流の影響だけが原因か?

こんにちは。株式会社シンカの田中です。
 
時事通信社は8月31日の記事にて、サンマの深刻な不漁について
北海道根室市の花咲港など、サンマ主要港の8月16~30日の水揚げ量は
合計800トンに満たず、前年の1割の水準にあると報じました。
 
資源の持続可能性や地方創生が語られる時、どうしても農山村が
想起されるため、農地・森林の持続可能性や産業活性化に目が行きがちです。
 
今回は、サンマの深刻な不漁のニュースをきかっけに、
水産資源の世界的な減少ついてご紹介させていただき、
魚離れが進行したといえども、国民1人あたり消費量が
未だ世界トップクラスの日本人として、水産資源の減少について
正しく実態を理解し、この問題について考えるきっかけにして
いただければと思います。
 
それでは、『 真価と進化 2019.9.11号』、最後までお付き合いください。


サンマの不漁は海流の影響だけが原因か?


サンマの不漁の原因について、資源量の減少が根本的原因ではないかと考え、
水産庁・国立研究開発法人 水産研究・教育機構が発表している
「平成30年度国際漁業資源の現況」というレポートを発見し、
サンマ及びマグロ、サケ(シロザケ)の資源量について調べました。
その結果は、下記のとおりです。
 
 
1.サンマ
http://kokushi.fra.go.jp/H30/H30_76.pdf
「表 3. 日本の調査船調査で推定したサンマの海区別分布量(万トン)」より
 
(カッコ内は、資源量のうち漁獲した量の割合)
2003年:約502万トン(約9%)
2008年:約460万トン(約13%)
2013年:約282万トン(約15%)
2017年:約86万トン(約30%)
 
2.クロマグロ
http://kokushi.fra.go.jp/H30/H30_04.pdf
「図 8. 日本の春期の南西諸島海域の近海・沿岸まぐろはえ縄の
太平洋クロマグロの CPUE」より
 
1960年:約16万トン
1970年:約5万トン
1980年:約3万トン
1990年:約2万トン
2000年:約5万トン
2010年:約2万トン
 
3.サケ(シロザケ)
http://kokushi.fra.go.jp/H30/H30_60.pdf
「図 7. サケの来遊数(沿岸漁獲数と河川捕獲数の合計値)と放流数」より
 
1970年:約500万尾
1980年:約2,000万尾
1990年:約7,000万尾
2000年:約4,000万尾
2010年:約5,000万尾
2017年:約2,000万尾
※1970年以降の急激な増加は、給餌・適期放流の効果が大きい模様。
 
 
たった3魚種の傾向だけで、全体を捉えてしまうのは偏りがありますが、
長期スパンで見れば、確実に資源量が減少していると捉えていいのでは
ないかと思われます。
 
 
サマリーとして、「世界の漁業の現状と資源状況について」という
レポートがありましたので、主なポイントをご紹介させていただきます。
http://kokushi.fra.go.jp/H30/H30_01.pdf
 
 
①世界の漁業生産量は増加しているが、その大半は養殖が支えている
 
世界の魚介類(海藻類を除く)の漁獲と養殖を合わせた漁業生産量は、
FAO統計資料によると、1950年以降ほぼ増加傾向を維持しており、
2016年には172.2百万トンに達した。
需要の増大には、養殖による生産量の増大が応えている状況にある。
 
 
②日本周辺水域では、日本の激減と中国の急増が見られる
 
日本周辺を含む北西太平洋における漁獲量は、1950年から増加を続け、
1983年に19百万トンを超え、以降は変動しながら19百万~23百万トンの
範囲で推移している。最近5年間は21百万~22百万トンの水準で
緩やかに増加しており、2016年は22.4百万トンであった。
この漁獲のほとんどは、中国(14.8百万トン)、ロシア(3.1百万トン)、
日本(2.9百万トン)および韓国(0.9百万トン)による。
 
 
③資源量を超えて過剰に漁獲した資源の割合は30%を超えた
 
FAO(2018)によれば、1974年以降2015年までのFAOによる評価において、
生物学的に持続可能でない過剰に漁獲利用された状態にある資源
(海域別魚種)の割合は、1974年の10%から1989年の26%まで増加し、
1990年以降も概ね緩やかな増加傾向をたどり、2008年には30%以上に達し、
2015年は33%であった。漁獲を拡大する余地のある資源は、
1970年代には約40%あったが、2015年には7%まで減少している。
 
 
資源量を超えて過剰に漁獲した資源の割合が30%という結果に、非常に驚きました。
人間は、超長期で物事を考え、逆算して行動するのがどうも苦手なようです。
資源の再生には物理的なキャパシティと時間が必要とされますので、
「テクノロジーで解決する」だけでなく、需要調整を行ったり、
先進国の食品ロスを減らして、発展途上国にタンパク源の確保を
できるようにするなど、俯瞰的、抜本的対策を取っていきたいものです。
 
今後、世界人口は90億人、100億人にも増加すると予測されております。
人口減少で需要が減少している日本人には肌感覚でわかりにくいかもしれませんが、
いずれ影響を受けるのは私たち一人ひとりです。
「気づいたら遅かった。でも自分のせいではない。」では済まされない
食料不足という状況にならぬよう、行動していきたいものです。

編集後記

食料不足対策といえば、みなさんは「昆虫食」に
チャレンジしたことはありますか?
私は田舎で生まれ育ったものの、昆虫を食べたことはなく、
一歩踏み出せておりません。
 
昆虫食でgoogle検索してみますと、合同会社TAKEOという会社が
「昆虫を食する新しい暮らしを創る」というミッションを掲げて、
事業を行っていらっしゃるようです。
 
昆虫食の通販ショップ | TAKEO
https://takeo.tokyo/
 
「タガメサイダー」「昆虫スナック」「昆虫ふりかけ」「昆虫パスタ」
などの商品カテゴリーがあり、おもしろおかしく販売されています。
また、「昆虫農業 むし畑」として、東京都の経営革新計画の承認も
取られているようです。
 
世界の人口爆発を見据えて、イスラエルの昆虫食ベンチャー企業が
大きな注目を集め、VCから資金調達を果たしたというニュースも
目にしたことがあります。
 
大真面目に、昆虫食のお世話になる時代が来るかもしれませんので、
いつかチャレンジしてみようと思うのと同時に、
できればお世話にならなくても済むように、やはり資源の持続可能な
社会を作らなければいけないと感じさせられました。
(世界では昆虫食が当たり前の国もありますし、
昆虫食が好きな方もいらっしゃると思うので、
あくまで個人的見解としてご容赦くださいませ。)
 
それでは、次号もお楽しみに!
 
 
(田中 裕也)