メールマガジン
『 真価と進化 』

Mail Magazine

← 一覧にもどる
2019.10.24号
自給自足は成り立つのか

こんにちは。株式会社シンカの菅原と申します。

はじめに この度の台風の影響により被災された皆様に、
謹んでお見舞い申し上げますと共に、
皆様の安全と、一刻も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

私は本屋にいくと、いつも新刊の本のタイトルを眺めているのですが、
「SDGs」や「ESG投資」、「地方創生」といった社会問題解決に関連した
テーマの本を多く見受けるようになりました。

「社会問題を解決することで、持続可能な社会を想像し、
 私たち一人ひとりの幸福度向上を追求する。」

という弊社のビジョンが頭の片隅にあるため
特に頭に残りやすいという要因もあるかと思いますが、
社会全体の社会問題解決への意識が年々強まっていると感じております。

そして先日、テレビで地方に移住をして農業に奮闘する若者の特集を見て、
地方での悠々自適ライフというイメージとは乖離した、
経営農家の難しさについて改めて知ることができました。

その特集を見ながら思った、
「お金を得るための農業ではなく、
 自分の食事を自給自足するだけであれば、自分にもできるのではないか」
という疑問を解消するためにも、生活するための自給自足について
調べてみました。

それでは、『 真価と進化 2019.10.24号』、最後までお付き合いください。


自給自足は成り立つのか


今回は、特に人が健康を保つために1年間で消費する食を
自給しようとしたときの生産量や耕作面積について、試算を行ってみました。

=================================
農林水産省の実践食育ナビ(*1)に、
年齢・性別ごとに、一日に「何を」「どれだけ」食べたらよいのかという
必要な食事量がまとめられております。

細かい計算を割愛すると、
成人男性は下記の量の食事を1年間に摂取すべきだそうです。

■成人男性の年間食事量[SV数ベース]
主食 :2555(米102kg)
副菜 :2190(トマト219kg)
主菜 :1825(豚肉55kg)
※カッコ内は食材換算した際の重量

ここで豚肉55kgとは、どれくらいの量なのでしょうか。

豚はおよそ100~120kgに成長した段階で出荷され、
その43%が食べられる肉として採ることができるようです。
つまり、成人男性が1年間に必要な主菜は豚肉1.2頭分ということになります。

また、豚肉1kgに必要な飼料はとうもろこしの重量に換算すると7kg(*2)ということですので、
1.2頭の飼育にはとうもろこしベースで602kgが必要です。

最後に、米、野菜、豚の飼料を栽培するためには、
どれほどの田畑が必要なのでしょうか。

農林水産省が調査しているの耕作面積あたりの平均収量を用いて試算すると
以下の耕作面積が必要となるそうです。

■成人男性の年間食事量をまかなう農地
米 :0.02ha
野菜:0.035ha(トマトベースで試算)
飼料:0.08ha(とうもろこしベースで試算)
合計:約0.14ha

つまり40m×40mの農地で米と野菜、飼料を育て、豚肉を1.2頭飼育すれば
1年間に必要な食事をまかなうことができるという結果になりました。
=================================

農業に必要な肥料や養豚に必要な設備など考慮されていない要素は多くあるものの
労働力という観点だけで考えると、自分の食べるものを自給自足をできそうに思えます。

また、一人で成立させるのではなく、
生産品種を分担し、融通し合う物々交換をすることで
より効率的に自給自足をすることができそうです。

・野菜が採れすぎた結果、出荷価格が流通にかかるコストを下回るため
 生産物を捨てざるを得ないことがある。
・高品質なものしか販売できないため、仕分けされた結果、廃棄される食材がある。

食料自給率が年々低下している中、このような事象は頻繁に起きているのも事実のようです。
売るための一次産業から、食べるための一次産業に転換することで、
日本の食糧問題が解決の方向に向かうこともあり得るのではないかと感じます。


*1 農林水産省 実践食育ナビ
http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/index.html

編集後記

生活に必要な「食」の自給自足について、シミュレーションする過程で、
・統計データを自分の都合のいいように解釈していないか
・試算のために設定した仮説や単純化によって試算結果が現実から乖離していないか
など、統計やデータを正しく読み取る難しさをひしひしと感じました。

そんな時に「データから“真実”を読み解くスキル」というテーマで
日経ビジネスで連載をしていらっしゃる松本 健太郎さんの記事(*1)を読み、
とても勉強になりました。

文末にリンクを載せておりますので、
統計データを取り扱う仕事に取り組まれる際など、
ぜひ、読んでいただければと思います。

それでは、次号をお楽しみに!

菅原 隆

*1 日経ビジネスオンラインゼミナール「データから“真実”を読み解くスキル」
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00067/#