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『 真価と進化 』

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2026.10.14号
伝説のお手紙

こんにちは。株式会社シンカ代表の田中です。

先日、社会保険労務士の新規登録入会研修会に参加してきました。
一体どこに向かっているのか、自分でもよくわかりません(笑)
ただ、中学時代に思い至った「何でも相談される人間になりたい」という
理想の自分に向かって努力を続けるのみです。人間変わりませんね。

さて、今回はいよいよ親会社オーナーにMBOを切り出したお話です。

知人の経営コンサルタントから、私はこんなアドバイスをもらいました。

「相手は本物の経営者。田中さんの"想い"が大事なので、それがきちんと
伝わるように、お手紙でも書いて、お渡しした方がいいですよ。」

なるほど。そうかもしれない。私は1週間、寝る間も惜しんで
お手紙を書きました。社員にバレないようにこっそりと。

お手紙には、以下のようなことを書きました。

・倒産しかかったシンカを救済し、買収後も多方面で支えてくださって、
 オーナーはじめ関係者の皆さまには本当に感謝していること。

・親会社の経営ノウハウをご伝授いただき、懸命に経営改革に取り組み、
 業績は見違えるほど良くなったこと。

・しかし、親会社の温情に社員が甘え出し、私は危機感を覚えていること。

・「社会問題を解決する」というビジョンの実現にどうしても挑戦したいこと。

・そのために、MBOをさせていただきたいこと。

オーナーへ想いを伝える当日。
何と切り出したらよいかわからないまま、雑談の時間が続きました。
そんな最中、不意にオーナーから核心の質問が飛んできました。

「で、どうだ。今後どうしたいか、考えはまとまったか?」

今しかない!と思った私は、簡潔に結論を伝えました。

「はい、親会社の皆さまには心から感謝しているのですが、
本当に勝手ながら、MBOさせていただきたいと考えています。」

すると、オーナーからこのような言葉が返ってきました。

「おー、いいじゃないか。それがいい。」

私はお手紙を「後ほどお読みください」とお渡しし、その場を失礼しました。

帰りの新幹線の中で、私はMBOが実現するかもしれない喜びと、
オーナーの懐の深さに、涙が止まりませんでした。


編集後記

お手紙を何度も何度も書き直した1週間、もちろん並行して
会話のシミュレーションも頭の中で何度も繰り返しました。

 自分から切り出すのか? 聞かれたら答えるのか?
 結論だけ言うのか、これまでの経緯から順番に話すのか?
 怒られたらどうするのか? 撤回するのか?
 却下されたらどうするのか? もう一度交渉する機会をお願いするのか?
 今回話が出なかったら次回に持ち越すのか? ねじ込むべきなのか?

でも、当日出てきた言葉は、たったの一言。
その不器用さが、かえってオーナーに"想い"を伝えたのかもしれません。
もっとも、"想い"だけでは2.6億円は集まりません。
次回は、難航を極めた資金調達のお話をお届けします。

それでは、次回もお楽しみに!

執筆者プロフィール

株式会社シンカ
代表取締役社長
田中裕也

1981年生まれ。岩手県二戸市出身。一橋大学商学部卒。2004年、新卒でシンカに入社。
上場企業を中心に20年以上採用コンサルティングに従事。訪問社数は2,500社を超える。
2014年、突如代表取締役を拝命。経営改革を経て、2017年にMBOを決断。
自社の経営改革の実体験から、現在は中小企業向けの組織改革・人事制度改革・
事業計画策定・新規事業立ち上げ、事業承継等の支援や、
持続可能な社会を目指して地方で宿泊業へのチャレンジも実践している。
2026年11月、社会保険労務士に登録予定。