シンカメールマガジン
『 真価と進化 』

SHINKA Mail Magazine

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2023.12.6号 VOL.212
志ん橋

こんにちは。株式会社シンカの村井と申します。
シンカがある新橋はたくさんの飲食店が軒を連ね、そのネオンで街が輝き、年中明るく賑やかな街です。
毎日通る桜田公園の木々にも電飾がつけられて、夜を彩る様子を眺め「もう12月か・・・」と実感しています。

それでは、『 真価と進化 2023.12.6号』、最後までお付き合いください。

志ん橋


毎年11月に行われる浅草鷲(おおとり)神社の酉の市。
家内安全、商売繁盛を祈願した縁起熊手の商いが行われ多くの人で賑わいます。
実家のうなぎ屋では商売繁盛の縁起物として毎年、熊手よし田さんの宝船熊手を購入しています。
この宝船熊手は一年かけて一枚一枚作っていく伝統技が集約されており、
作り手の心のこもったその様は、お客様にも一目置かれる存在です。

今年は三姉妹揃って予約していた熊手を取りに行くよう母から命じられて境内へ、
おおとり神社(お酉様)は地元の神社なので幼い頃からの馴染みの場所であり、
熊手屋のよし田さんはうなぎ屋のごひいきさんでもあり、昔馴染みの方です。
久々の揃っての再会に「商売繁盛」の手締めもそっちのけで話をしていました。

そして話の流れから、熊手屋のよし田さんのご家族が有名な江戸文字書家の
橘右之吉さんであることを今更知るのでした。

地元ではよく目にする「江戸文字」も、あえて注目することがなかったんですが、
熊手の名札の文字はもちろん、浅草寺本堂大提灯で最も大きな提灯である
「志ん橋」も橘右之吉氏の手掛けたものだと知り驚きました。

「志ん橋」って「新橋」のことだよね?
なんで浅草寺の本堂に「志ん橋」?

『変体仮名』と呼ばれる字体で書かれた「志(し)」を使った「志ん橋」が
小粋な印象をうけ、浅草寺の本堂と絶妙にマッチしています。

江戸時代、浅草は参詣・行楽・歓楽を目的とした人びとがあふれる江戸有数の
盛り場で、そこに町の名前を書いた提灯を掲げれば、宣伝効果は絶大だったそう。
新橋の人たちはそれを狙って、提灯を奉納したのが今も奉納提灯として残っていたんですね。

シンカが新橋に移転して早六年が経ちました。
独特な新橋の街の雰囲気に最初は慣れなかった頃が懐かしいです。

シンカに在籍してから何度か移転や出向で勤務先が変わりましたが、
まわりまわって「新橋」に行きつきました。
浅草寺本堂大提灯「志ん橋」の由来を今更ながら知りました。
浅草と新橋の古からのつながりに触れ、不思議なご縁を感じています。

宝船熊手 よし田
https://kumade-yoshida.com//

江戸文字/橘右之吉さん
https://unos.co.jp//

編集後記


商売繁盛の三本締めを前に、熊手屋さんから「三本締め」の由来も念押し。

「パパパン、パパパン、パパパン、パン」と、三回の柏手を三回繰り返すことで
三×三で「九」だよね。この漢字に最後の一を加えることで「丸」という漢字
なるだろう。こうして物事が「丸」くおさまったことへの感謝を示すんだ。

三は割れない縁起のいい吉数。
ごひいきの関係が壊れずこれからも続くように、お客様の商売繁盛も続くように
という願いも込めているんだよ。

「それでは皆さま、お手を拝借」
「いよぉ~、♪パパパン、パパパン、パパパン、パン!」
「♪パパパン、パパパン、パパパン、パン!」
「♪パパパン、パパパン、パパパン、パン!」
「ありがとうございました!」

慌ただしい年の暮れ、どうぞお健やかにお過ごしください。

それでは、次回もお楽しみに!

村井 一美