2025.02.19号 VOL.271
先人に学ぶ
こんにちは。株式会社シンカの分部と申します。
年が明けて、ばたばたと過ごしていると、あっという間に年度末が間近ですね。
今年度の締めくくりと、次年度の準備に忙しくされている方も多いと思います。
私事ですが、約2年ほど挑み続けた「日商簿記1級」に、
2024年11月試験にて、合格をすることができました。
「継続は力なり」という言葉を改めて実感するとともに、
新しい学び・知識を増やすことの楽しさを感じています。
今回は、商工会議所の創設者である渋沢栄一翁の言葉をご紹介します。
それでは、『真価と進化 2025.2.19号』、最後までお付き合いください。
風が吹けば桶屋が儲かる
渋沢栄一翁の数多い著述の中に「論語と算盤」があります。
晩年、多くの講演活動をされていたため、口述筆記が多く残されていました。
その講演や談話等をもとに、梶山彬にて編纂されたもので、
10編90章からなる訓話集として、まとめられたものです。
その中から、抜粋してご紹介したいと思います。
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■人生は努力にあり
予は、本年(大正二年)最早七十四歳の老人である、
それゆゑ数年来成るべく雑務を避ける方針を取つて居るが、但し全然閑散の身となることが出来ず、
まだ自分の立てた銀行だけは依然、其の世話をして居るといふ次第で、
老ても矢張り活動して居るのである、
凡て人は老年となく青年となく、勉強の心を失つて終へば、其人は到底進歩発達するものではない、
同時に夫等の不勉強なる国民によつて営まる?国家は、到底繁栄発達するものではない、
予は平生自ら勉強家の積りで居るが、実際一日と雖も職務を怠るといふことをせぬ、
毎朝七時少し前に起床して、来訪者に面会するやうに努めて居る、
予の如き七十歳以上の老境に入つても、尚且つ此の如く怠ることをせぬのであるから、
若い人々は大に勉強して貰はねばならぬ、
怠惰は何所までも怠惰に終るものであつて、決して怠惰から好結果が生れることは断じてない、
乃ち坐つて居れば立ち働くより楽なやうであるが、久しきに亘ると膝が痛んで来る、
それで寝転ぶと楽であらうと思ふが、これも久しきに亘ると腰が痛み出す、
怠惰の結果は矢張り怠惰で、それが益々甚しくなる位が落である、
故に人は良き習慣を造らねばならぬ、
即ち勤務努力の習慣を得るやうにせねばならぬ。
其の勉強も、只一時の勉強では十分でない、
終身勉強して始めて満足するものである、
凡そ勉強心の強い国ほど国力が発展して居る、
之に反して、怠惰国ほど其国は衰弱して居る、
故に一人勉強して一郷その美風に薫じ、
一郷勉強して一国その美風に化し、
一国勉強して天下靡然として之に倣ふといふやうに、
各自は啻に一人の為のみでなく、一郷一国乃至天下の為に、
十分勉強の心懸が大切である。
■習慣の感染性と伝播力
由来習慣とは人の平生に於ける所作が重なりて一つの固有性となるものであるから、
それが自ら心にも働きにも影響を及ぼし、悪いことの習慣を多く持つものは悪人となり、
良いことの習慣を多くつけて居る人は善人となると言つたやうに、
遂には其人の人格にも関係して来るものである、
故に何人も平素心して良習慣を養ふことは、人として世に処する上に大切なことであらう。
また習慣は唯一人の身体にのみ附随して居るもので無く、他人に感染するもので、
動もすれば人は他人の習慣を摸倣したがる、
此の他に広まらんとする力は、単に善事の習慣ばかりでなく、
悪事の習慣も同様であるから、大に警戒を要する次第である、
余の経験によれば、習慣は老人になつても矢張重んぜねばならぬと考へる、
それは青年時代の悪習慣も、老後の今日に至つて努力すれば改められるものであるから、
今日の如く日に新なる世に処しては、尚更この心を持つて自重して行かねばならぬのである。
兎角習慣は不用意の間に出来上るものであるから、大事に際しては其れを改めることが出来るのである、
例へば、朝寝をする習慣の人が、常時はどうしても早起が出来ないけれども、
戦争とか火事とかいふ場合に当りては、如何に寝坊でも必ず早起が出来るといふことから観ても、さう思はれるのである、
然らば何故にさうなるかと云ふに、習慣は些細のことであるとして軽蔑し易いもので、
日常それが吾儘に伴うて居るからである、
左れば男女となく老若となく、心を留めて良習慣を養ふやうにしなければならぬのである。
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先人の教えに、身が引き締まると同時に、現代の状況に危機感を感じざるを得ません。
簿記1級の受検直前においては、
平日毎日1~2時間、土日はそれぞれ5時間ずつ勉強することが習慣となっていました。
やると決めたら、自然と時間を生み出す努力をするものだと体感した次第です。
一生をかけて学び続け、そして自分の学びが自己満足で終わらぬよう、
世のため人のために活かしていけるように、頑張っていきたいと思います。
※「論語と算盤オンライン」より
https://eiichi.shibusawa.or.jp/features/rongotosoroban/index.html/
編集後記
先日、次のフェーズに進むべく新たな講座の相談のため、専門学校に行ってきました。
親身に相談にのってくださった相談窓口のスタッフさん、
ご自身も同じ資格をゆるゆると勉強している、とのことだったのですが、
私が、迷い、悩みながらも、結果、自身を追い込む決断をする様子をみて、
「自分ももっと頑張ろうと思いました」とおっしゃってました。笑
人の頑張る姿は伝播するものですね。
こんな小さなことでも、一人の背中をおすきっかけとなったことを嬉しく思います。
それでは、次回もお楽しみに!
分部 理恵