2025.06.25号 VOL.289
明日もしお金が消えたら
こんにちは。株式会社シンカの山内と申します。
梅雨らしさをほとんど感じる間もなく、7月上旬には梅雨明けの予想も出ています。
また、今年も「観測史上最も暑い夏になりそう」と言われています。
娘の通う保育園では、水遊びシーズンが始まったばかりですが
あっという間に気温が基準を超えてしまいそうで、今年は何日楽しめることやら…。
そんな中、先日、Alive前の川では、ホタルが姿を見せてくれました。
カジカガエルの鳴き声とともに、ささやかな癒しをもらっています。
それでは、『真価と進化 2025.6.25号』、最後までお付き合いください。
明日もしお金が消えたら
弊社が運営する、飯能の地域通貨「Hello, againコイン」に、
最近、新たに加盟店として加わってくださった方が主催された、
映画「ロマンチック金銭感覚」の自主上映会に参加してきました。
実在する複数の「地域通貨」運営者への取材をもとに、
フィクションとして再構築された、少し不思議な物語。
それでもそこには、運営者たちの強い想いが凝縮されていました。
▼ストーリー(公式HPより引用)
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映画監督である龍蔵と麻悠は、
働けど働けど常にお金がない貧乏監督コンビだ。
その理由は、売れない自主映画を定期的に作り続けているからである。
生活費も底を付いたある日、
二人は映画作りには避けて通れない「お金」について考え始める。
そんな夜、突然に旅人が来訪して二人に問いかける。
「お金って何ですか?」
二人はそれに答えることが出来ない。
それから家ではおかしな出来事が起こり始める。
突然黄金虫に変身してしまう龍蔵、
置いた覚えのない種籾や蜂の巣、
鉱石ラジオから傍受した異次元ラジオ、
定食屋さんで見る謎のCM…
その過程で二人は「地域通貨」という存在に出会い、
その実践者たちに話を伺う。
話を聞くうちに、普段何気なく使っている法定通貨の外側に、
とてもロマンチックな経済圏があることを認識する。
どこまでが二人の妄想で、どこからが現実なのか?
果たして二人は映画を完成させることが出来るのか?
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上映後に、参加者の一人がこんなお話をしてくれました。
“地域通貨は、「お金がない社会」に向かうための一歩。
「お金がない社会で生活するとしたら、どうするか?」を考えてほしい。
大切なのは「提供する」ということ。
動物、植物は、命を無償で提供してくれている。
世界は無償の提供でできているんです。”
私たちは今、物価の上昇を日々実感しています。
日常の買い物でも、「え?これだけでこの値段?」と私自身も驚くことがあります。
最近では、お米の価格高騰が話題になり、
「どれくらい上がるの?」
「ブランド米は諦めて、古古米にする?」
といった会話が聞かれるようになりました。
少し深く考えてみても、
「いくらなら妥当か?」
「農家さんが続けられる適正な価格を払うべきだね」
といった金額の話にとどまることが多いように感じます。
しかし、それらの話も「お金がある」ことが前提です。
もし、明日お金がなくなったら?
お米が食べたければ、農家さんを手伝う。
耕作地を広げる知恵を貸す。
あるいは、お米以外の何かを誰かと一緒に育てる。
自分の力で、役に立つ方法を探して動く。
そんな「交換」が、自ずと始まるはずです。
「価格」という指標で測るのが当たり前になった今、
「提供する」という行為の意味を、あらためて見つめ直すタイミングなのかもしれません。
変化のときこそ、立ち止まり、問い直し、再構築できるチャンスです。
編集後記
普段はビジネスの現場に身を置いていますので、
どうしても「利益は出ているか?」という問いは、常につきまといます。
地域通貨の運営も、収益事業ではないこともあり、
アクセル全開とはいかないのが実情で、葛藤もあります。
私は、企業様の「外部特命係」のような立ち位置で関わらせていただくことが多く、
「何を提供できるのか?」を一言で説明するのはなかなか難しいのですが、
少しでもイメージしていただけるようにと、今期から少人数の勉強会を始めました。
ビジネスに限らず、声をかけること、おすそ分けすること、笑顔を向けることなど、
日常の中にも、私たちが「提供できるもの」は、まだまだたくさんあります。
その循環が見えてくれば、
「自分で抱え込まなければ」「出し惜しみしてはいけない」といった
恐れや防御のようなものも、きっと不要になっていくはずです。
ロマンチックを、現実へ。
まだまだ旅は続きます。
それでは、次回もお楽しみに!
山内 綾子