2025.07.09号 VOL.291
非効率から生み出されるもの
こんにちは。株式会社シンカの分部と申します。
連日暑い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。
昔はこの時期は、1日3~4アポを汗だくで訪問していたこともありましたが、
いまは、オンラインでのお打合せが増えたことで、汗をかく機会が減りました。
ありがたいものの、なんだか少し物足りない気がいたします。笑
身体の汗はかかなくなっても、頭で汗をかき続けたいと思います。
それでは、『真価と進化 2025.7.9号』、最後までお付き合いください。
非効率から生み出されるもの
日本の特に大手企業においては「総合職」「一般職」という職種が一般的ですね。
これは、1986年に男女雇用機会均等法が施行されたころから、
コース別採用が始まったことで、一般職と対比される形で使われるようになったそうです。
これだけ経済環境が大きく変わっている中で、40年も続いていることに驚きです。
あらためて「総合職」とは、企業の中核となる業務に携わり、
将来の管理職や幹部候補として育成されることを想定した採用区分とされています。
そのため、営業、企画、管理等、複数の部署をまわったり、全国転勤があるなど、
会社全体の業務内容や経営環境を理解する機会があり、
ジョブローテーションを通じて、社員の成長と組織の活性化の両立を期待されています。
知識や経験の幅が広がることで、視座があがることは事実だと思いますし、
その結果として、成長につながるという考え方は、
私自身の体験からも、とても理にかなっているなぁと感じます。
職種は、組織の中における役割分担の切り口の1つだと思うのですが、
私のプロジェクトでは、こんなことがありました。
あるお客様の採用支援のプロジェクトチームにおいて、
年間を通して、イベント対応、学生対応、面接官対応、内定者フォローなどがあり、
各々さらに告知/開催前準備/開催後対応などの細分化されたタスクが盛りだくさん。
こういった複雑で多様なオペレーションが同時並行で動いている状況でした。
私自身、PMという立場においては、
・メンバーが、自身の担っている仕事を自分の判断で進められるようになること
・メンバーが、周囲に対し、自らの状況共有や相談を適切に発信できること
・他のメンバーに影響することを自ら発信し、互いに自然にフォローし合えること
・メンバー一人一人が、お客様のために改善・提案する視点をもてるようになること
ということを目指していました。
個人の自主・自律性を伸ばしながら全体視点をもてるようになることが、
チームの成果にとって、そして個人の仕事のモチベーションにつながると考えていました。
そこで私は、常にみんなが新しい経験に触れることができるように、
非効率であることはわかっていたものの、あえて短期間で、
プロジェクト内での業務役割のローテーションを行いました。
その結果、
・全員がそれぞれの状況や進捗、困っていること等の共通認識をもつことができた
・お互いの必要情報の連携やフォローがスムーズに自発的に発生した
・プロジェクト全体の状況を全員が把握・認識する状態をつくることができた
という期待通りのメリットを感じることができました。
一方で、繁忙期でのローテにより、新規+引継ぎ業務のダブルパンチによって、
全員の業務負荷が増大し、メンバーに過剰な負担をかける結果となってしまい、
大きな反省点もありました。
と、進め方には無理があり、メンバーには迷惑をかけてしまったのですが、
知識や経験の幅を広げた効果を感じられたのは事実としてありました。
その後は、負荷軽減のため、個人の役割を固定化した体制に見直しましたが、
結果、チームワークがよりよくなっていっていることを実感しています。
個々人に特性があるという点は大前提ではありますが、
役割と役割の隙間をうめるための情報や知識を、
一人一人が持っている状態をつくれたからであり、
互いにフォローしあうコミュニケーションが習慣化できたからではないかと感じています。
最近の傾向は、総合職からジョブ型へ、
個人の強みを生かし人材活用に活かしていく、との適材適所の考え方が進みつつあります。
組織運営の効率化・最適化としては適切な方向だとは思いますが、
役割を縦割りにすればするほど、隙間が生じますし、全体視座をもつ存在がいなくなります。
また個人からみても、ダイバーシティという名目のもと、
自分のやりたいことをやれる環境がいい(=自分がよければいい)という人が
増えている風潮もあるような気がしています。
自社にとって、どんな組織運営が理想的なのか。
自社にとって、どんなはたらきをする社員が理想的なのか、逆にそうではないのか。
そして、それが実現できる組織運営になっているのか。
ぜひ今一度、言語化されてはいかがでしょうか。
編集後記
役割で線を引かないと動きずらい、ということもありますし、
逆に役割を明確に引きすぎて、相乗効果がおきづらく、
マネジメントに負荷がかかりすぎる、という経験もあります。
組織運営上、一定の役割の整理は必要ですが、
結局は、一人一人が自分の役割をこなすことを優先するのではなく、
「お客様・チームのためにできることはないか?」ということを
第一義に考えられているかどうか、ということだけなんですよね。
そういう機運を高められているかどうか、ということが大事ですね。
常に整理したり壊してみたり。試行錯誤を続けるのみ!
それでは、次回もお楽しみに。
分部 理恵