2025.08.06号 VOL.295
コスト削減の最大の障壁
こんにちは。株式会社シンカ代表の田中です。
物価上昇に伴う賃上げによって、コスト削減に取り組まれる企業様も
多いように感じています。
そこで今回は、弊社が過去行ったコスト削減の経験について
ご紹介いたします。
私は、2014年に事業部門責任者の立場から代表取締役に就任して、
管理部門も統括することになりました。
“もうけ”られれば、社員を異常に働かせなくて済むようになる。
そう考えていた私は、管理部門のコスト削減に取り組むことにしました。
すべての経費に明細単位で目を通し、わからないものは担当に質問して
すべての経費が頭に入るように把握に努めました。
「この経費って、どうしてこの金額必要なの?」
という私の質問に対して、担当の回答に私は驚愕しました。
「去年も、この金額だったので。」
なんと、何のための経費で、使わないとどんなデメリットが生じて、
使うとどんな効果があるのか、理解せずにお金を使っていたのでした。
「前例踏襲」。これが最大の障壁でした。
使う理由が説明できないなら、おそらく削っても影響はないだろうと考え、
「必要性が説明できない経費は、一旦すべて削減ありきで検討します。
売上を作って100の利益を生み出すには、1,000の仕事をする必要があります。
でも、100の経費削減は、100の利益に直結します。
これは、皆さんを結果的に異常に働かせなくて済むようにするためです。」
と宣言して、皆ですべての経費を1つ1つ精査して、
結果的に1,000万円のコスト削減ができました。
これは、当時の弊社の販管費の13%に相当する金額でした。
結果的に、人間に負担が増すなどの副作用も一部ありましたが、
一旦削減して、皆が必要性を理解したら、また支出を許可して、
必要性を理解したお金の使い方ができる会社になりました。
もちろん会社の損益は大幅に改善し、その他の取り組みも相まって、
社員の働く時間は30%減少。コスト削減の威力を実感しました。
「前例踏襲」を乗り越えるためには、物事の見方を変える必要があります。
ゼロベースで考える思考力が最も必要ですが、そのためにも他社の事例を知る、
世の中の一見関係のないことも現場で体験して、柔軟な思考を養う。
そんな行動が常日頃大切なのではないかと私は思います。
編集後記
意識的な経費削減を続けた結果、私は重要なことを学びました。
100円の経費を削減するために、社員の作業時間が1時間増えたら、
人件費が2,500円かかって、むしろ高くつく─そんな事実に気づきました。
それ以来、「人件費の方が高い」という視点を持ち、
クラウドの導入や、外注化を進めるようになりました。
社員に対しても「そこに時間を使うより、価値を生み出す仕事に
集中することの方がよっぽど重要だ」という考え方を共有し、
社員の時間価値を高めるマネジメントにシフトしました。
経費削減は目的ではなく、最も大切なのは、社員一人ひとりが生み出す付加価値ですね。
それでは、次回もお楽しみに!
執筆者プロフィール
株式会社シンカ
代表取締役社長
田中裕也
1981年生まれ。岩手県二戸市出身。一橋大学商学部卒。2004年、新卒でシンカに入社。
上場企業を中心に20年以上採用コンサルティングに従事。訪問社数は2500社を超える。
2014年、突如代表取締役を拝命。経営改革を経て、2017年にMBOを決断。
自社の経営改革の実体験から、現在は中小企業向けの組織改革・人事制度改革・
事業計画策定・新規事業立ち上げ、事業承継等の支援や、
持続可能な社会を目指して地方で宿泊業へのチャレンジも実践している。