2025.09.17号 VOL.301
これってハラスメント?
こんにちは。株式会社シンカの分部と申します。
弊社では、案件ごとにプロジェクトマネジャー(PM)が責任と権限を持ち、
売上とともに、人件費を含む原価すべての採算管理を担います。
社員は等級別に、時間単価(Charge rate)と稼働時間割合(Chargeability)が定められており、
年間のChargeability実績をベースに人事評価が行われる仕組みとなっています。
社員の退職に伴い、3名が稼働している案件を私がPMとして引き継いだことがありました。
業務の詳細を知らない私は、稼働状況の実態を把握したいと考え、
メンバーに対して、以下の方針を伝えました。
・チャージは、稼働した時間の実績通りにつけること
・突発の追加業務は事前相談のうえ分担・進め方の決定をする
・期末にのこった利益は、納品業務以外の貢献度をもってボーナスチャージとする
合意のもと新体制がスタートしたのですが、あるメンバーから想定外の反応がありました。
・月末に、毎日同じ稼働時間(例:3h/日)が記載されたタイムレポートが届く
→ 日々業務変動がある中、毎日同じ稼働のはずがない、実績通りに!と伝える
・翌月末、想定よりも過剰な稼働時間のタイムレポートが届く
→ 納品業務以外の時間を含めていたため、改めて認識をすり合わせる
・さらに翌月末、再び、毎日同じ稼働時間のタイムレポートが届く
→ 以前から伝えている通り、実績通りに!と再び伝える
・「何時間で業務を遂行したらいいのかわからない。計算方法を教えてほしい」と言われる
→ 計算方法はないので、稼働した時間でそのままつけてほしいと伝える
数か月間、ずっと平行線でした。
結果、起こったことは以下でした。
・本メンバーによる「今日のタスク共有メール」の突然の停止
・「今後、毎月160h(=想定の2倍超)をチャージとして申請させていただく」との一方的な主張
・「これ以上曖昧な指示が続くようであれば、対応を考える」との発言
その後、直接、認識合わせには尽力しましたが、
「PMという立場を利用したハラスメントを受けていると感じていた」との言葉もありました。
当人にとっては、チャージが減ることへの恐怖であり、防御からの行動だったと思うのですが、
互いの経験値や立場、責任など見えている視界が違うことで、
こんなにもすり合わないものなのか・・・と実感した次第です。
ハラスメントという言葉だけで委縮してしまいますが、
定義をしっかりと理解していることで適切な対応がとれることを学びました。
必要以上に怖気づくことなく、成果をあげるために必要なマネジメントであれば、
自信をもって実行してまいりましょう。
※パワーハラスメントの三要素(以下すべてを満たすもの)
①優越的な関係を背景とした言動
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
③労働者の就業環境が害されるもの
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/definition/about
編集後記
ハラスメントに怯えながらマネジメントされている方も多くいらっしゃると思いますので、
今回は、私の体験をそのままお伝えさせていただきました。
結局、このメンバーは退職となりました。
お互いの真意を最後まですり合わせることができなかったな・・・と感じております。
相手の真意に向き合おうとしても、本人も自覚できておらずうまく言葉にできないもどかしさ。
こちらの考えていることを、誠心誠意伝えようとしても受け止めてもらえない悲しさ。
人の集まる組織は、悩みが尽きませんね。
それでは、次回もお楽しみに!
執筆者プロフィール
株式会社シンカ
マネジャー
分部理恵
1980年生まれ。新潟県新潟市出身。東京理科大学工学部経営工学科卒。2004年に新卒でシンカ入社。
大手上場企業の新卒・中途採用アウトソーシング支援を中心に担当し、
採用支援システム開発や若手育成、業務標準化も経験。
経営不振の中、マネジャーとして案件採算適正化や看板事業の撤退、見積金額標準化を推進。
従業員主導の人事制度改革プロジェクトにも参画し、自社の経営改革に携わる。
現在は大手企業の採用支援とともに、中堅中小企業の組織人事支援へ挑戦中。
自らの強みを分かりやすく可視化したいとの思いから、2024年日商簿記検定1級に合格。
現在も、さらなる専門スキル獲得を目指し邁進している。