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『 真価と進化 』

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2026.1.21号 VOL.318
減収増益の何が悪い?

こんにちは。株式会社シンカ代表の田中です。

弊社は2013年からの経営改革によって、減収増益を続けました。
「売上は減ったが、利益は増えた」ということですね。

その裏側には、壮絶な経営改革がありました。
不採算顧客との価格交渉(決裂が多かった)、看板事業の撤退(赤字だった)
慣習化した経費の削減、働き方改革、社員の多能工化、
人事制度刷新、クラウド化、間接業務の外注化などなど。

たくさんの血も流れました。
しかし、私は諦めませんでした。

「売上は減ってもいい。利益が出る会社にしよう。」

と社員に言い続けました。

なぜなら、売上は社員の忙しさに比例し、
利益は、社員への還元の原資であり、新しいチャレンジの元手になるからです。

ところが、外部から見ると、「減収」している会社は元気がないように見えます。
また、勝手に「減収=減益」と想像されます。
売上至上主義の人からは、「減収=悪いこと」と批判されます。

減収していると、弊社から何か仕事を発注してもらいたい、
弊社の顧客に何か売り込んでほしい、という人も近寄ってこなくなりました。

しかし、実はそれらの批評をする人への配慮や虚勢、
売れもしないのに何か協業しようと相談する時間は、利益には全く貢献していませんでした。
それらがなくなると、自分たちが取り組むべきことに時間を割けるようになりました。

筋肉質な体質になってからの「増収増益」はとても良いことですが、
ケガをした体のまま、さらに「来年は筋力●%アップ」とトレーニングしても、
さらにケガを悪化させるだけです。

実は筋肉質になれていないのに「増収」を目指す経営者の中には、
「見栄を張りたい自分」から脱却できていないことが少なくありません。
また、社員が頑張ってやっと実現した「増収」で増えた利益を
社員に還元できていないケースも多くあります。

日本の総人口は毎年80万人、生産年齢人口は60万人ペースで減少するとも言われます。
国内でビジネスをしている企業は、売上も社員も毎年1%ずつ減少するのが自然なトレンドです。
人数だけではなく、組織は高齢化し、物価高・賃上げのトレンドはまだ続きそうです。

よって、これから多くの企業が目指すべきは「増収」ではなく、
「労働生産性」であり、高い労働生産性と高待遇を確保できてはじめて、
増収を目指していくのが適切な経営方針だと私は考えています。

「減収増益」は、逃げではありません。
人が減り続ける国で生存するための、極めて現実的な経営判断なのです。


編集後記

かくいう私も、正直に言えば、増益だとしても減収が続くと、
恐怖にうなされて、夜中に目が覚めることも多くありました。

社員に檄を飛ばし、当たり散らしてしまったことも今思えば少なくありません。
当時の社員には、自分の幼さを詫びるばかりです。

それでも「社員が疲弊しない会社をつくりたい」
という気持ちは、一度もブレなかったと思います。

そんな自分の心持ちを変えてくれたのは、顧問の一言。
「だって、田中さんが怒ったって、売上はあがらないでしょう?」

おかげで、自分が本当にやるべきことに集中できるようになった気がします。

それでは、次回もお楽しみに!

執筆者プロフィール

株式会社シンカ
代表取締役社長
田中裕也

1981年生まれ。岩手県二戸市出身。一橋大学商学部卒。2004年、新卒でシンカに入社。
上場企業を中心に20年以上採用コンサルティングに従事。訪問社数は2500社を超える。
2014年、突如代表取締役を拝命。経営改革を経て、2017年にMBOを決断。
自社の経営改革の実体験から、現在は中小企業向けの組織改革・人事制度改革・
事業計画策定・新規事業立ち上げ、事業承継等の支援や、
持続可能な社会を目指して地方で宿泊業へのチャレンジも実践している。
2025年、社会保険労務士試験に合格(登録準備中)。